◇次の50年へ海外戦略の新たな挑戦
ナカノフドー建設にとって、海外建設は業績の約45%を占める基幹事業だ。2026年3月期連結決算では、売上高のうち国内は前期比55億円減の755億円だったのに対し、海外は330億円増の610億円と大幅に伸びた。国別ではシンガポールの割合が最も高く、海外全体の約42%を占める。
25年度に始動した現中期経営計画では、10年後に海外売上高比率を国内と同水準まで引き上げる目標を掲げる。その実現に向け、建物の用途や規模に応じた顧客対応力や現場対応力を高めるため、設備、設計、施工の各分野で人材を補強する。特にローカル人材の確保・育成を一層強化する方針だ。
収益性の向上にも力を入れる。海外事業の拡大に向け、ローカル企業とのM&A(企業合併・買収)の可能性を探る。シンガポールを含め、「現時点では明言できない」(飯塚隆社長)としながらも、海外での非建設事業への参入も検討する。東南アジア以外への本格進出も視野に入れるが、まずは最大市場である同国で事業基盤をより強化する考えだ。
同国貿易産業省によると、26年1~3月期の実質国内総生産(GDP、確報値)は前年同期比6・0%増となり、4月公表の速報値(4・6%増)から上方修正された。業種別では建設業が同11・8%増と堅調に推移している。
ナカノシンガポールの片岡清社長は「シンガポールでは引き続き国内外から旺盛な投資が見込まれている。中でもAI関連の需要は堅調で、データセンターの動向には特に注目している」と話す。その上で、施工実績が豊富な大規模コンドミニアムを強みとして、さらなる受注拡大を目指す考えを示した。
一方、土木事業への参入は「可能性はゼロではない」としつつも、「現時点では全く考えていないし、今後もおそらくないだろう」と説明。今後も建築分野に経営資源を集中し、勝負していく姿勢を強調した。
飯塚社長は、海外事業の拡大が全社業績に及ぼす効果について「海外の顧客とのつながりが、国内での受注に結び付くケースもある」と指摘。その上で「強みである海外と国内の連携によるシナジー(相乗効果)をさらに発揮したい」と意欲を示した。
海外事業の拡大には、1980年代以降に現地法人を設立したマレーシア、タイ、インドネシア、ベトナムのさらなる成長も欠かせない。ナカノシンガポールの創立50周年記念式典に出席したある現地法人トップは、「東南アジアは今後も成長が期待できる有望な市場だ。“兄貴分”であるナカノシンガポールに追い付き、追い越す気持ちで取り組みたい」と意欲を語った。
飯塚社長は「次の60周年を迎える頃には、ナカノシンガポールがさらに高いレベルの成功を収めていることを期待している。そして100周年、その先の未来を見据えながら発展してほしい」と今後に期待する。
人を大切にする姿勢はこれからも変わらない。ローカル人材を尊重し、チームワークも重視する企業文化こそが、海外事業のさらなる成長を支える原動力となる。
(編集部・片山洋志)








