建設用3Dプリンターの開発などを手がけるPolyuse(ポリウス、東京都港区、岩本卓也代表取締役、大岡航代表取締役)の存在感が増している。同社の3Dプリンター技術を使った施工実績が累計300件に到達。公共土木を中心に3Dプリンターを活用した国内工事で9割のシェアを占める。産学官を挙げて現場打ちやプレキャスト(PCa)に続くコンクリート構造物の新たな標準工法として確立させる動きが加速する中、共同創業者である大岡代表取締役に今後の課題と戦略を聞いた。
--3Dプリンターの施工実績が300件に達した。
「2022年1月に国土交通省直轄工事で国内初となる建設用3Dプリンター施工を実施して以降、約4年間で順調に推移してきた。当社の技術は3D図面データに基づき専用モルタル材料を積層造形し、型枠などの資材や工程を省略しながらコンクリート構造物などを製造するのが特色だ。重力式擁壁、防波堤の波返し、かさコンクリート、護岸ブロックなどを製造している。引き続き土木を中心に実績を積み上げていきたい」
--建築分野は。
「昨年12月に大和ハウスグループからの出資を受け、ハウスメーカーやデベロッパーの引き合いも増えている。一方、日本は世界を代表する建設用3Dプリンターが活況な国でありながら、躯体の一部や型枠の外形などを造形しているに過ぎない面もある。世界には大きい建物の躯体に対応している国も多い。建築分野での普及には耐震基準や構造計算、確認申請などの見直しなどが必要になるだろう」
--今後の目標は。
「25年9月に販売を開始した国産量産機『Polyuse One(ポリウス・ワン)』の設置台数が40台に達し、27年5月までに全国100台体制の構築を目指す。26年5月期に15億円だった売上高を、5年以内に200億円まで伸ばすなど成長のスピードを一気に加速させる。これからもビジョンに掲げる『人とテクノロジーの共存施工』を推進し、業界の人手不足やインフラの老朽化、災害復旧などに対応していく。中長期視点でこれまでに携わってきた施工案件のメンテナンスなどでも商機が出てくるとみている」
--建設用3Dプリンターに向き合う官民の動きをどうみる。
「この1年くらいで官民ともスピードがかなり上がってきたというのが率直な受け止めだ。土木学会が3Dプリンターでつくる埋設型枠の技術指針を作成した。国交省も直轄土木工事で建設用3Dプリンターの出来形や品質の確認方法の考え方を示した。ゼネコンも独自技術の開発に力を注いでいる。東京大学と大手4社がコンクリート構造物の新たな標準工法として確立するための社会連携講座を立ち上げた。当社も協力できる部分があれば協力したい」
--業界への普及をどう推し進める。
「国交省や自治体、ゼネコン、地域の建設会社などさまざまなステークホルダーと携わってきた。こうした関係を生かし、i-Constructionの一環として業界全体に建設用3Dプリンターを普及するハブとしての役割を強めたい。30年代も見据え、若い方に選ばれる建設産業に変革するための波をつくりたい」。
□印刷時状況を即時計測へ□
Polyuseは、建設用3Dプリンターの印刷時状況を即時計測する技術を開発する。京都大学のインフラ先端技術産学共同研究部門(塩谷智基研究統括)と共同で、国交省の「SBIR建設技術研究開発助成制度(中小・スタートアップ企業タイプ)」に新規採択された。印刷時に発生する残存空隙や寸法を検出し、品質管理の質向上に貢献する。
同社によると、建設用3Dプリンターを活用した施工では、モルタルの吐き出し状態や積層時の構造物形状を適切に管理することが重要になる。従来はオペレーターが目視で状況を確認しながら、適切な印刷条件を調整。新たに開発する技術で、印刷時の構造物形状や状態を高精度に自動計測し、リアルタイムで品質を管理する。
将来、自動計測したデータを建設用3Dプリンターにフィードバック。印刷条件を自動で最適化し、高品質な施工を実現する完全自動運転の実現を目指す。当面は表面スキャンによる残存空隙の推定技術の実現可能性を検証する。2029年3月までに計測システムを建設用3Dプリンター実機へ実装し、実証完了を目指す。








