日本電設工業は、電気設備工事の現場で大量に排出される廃電線・廃ケーブルのリサイクル事業に乗り出す。2028年の操業開始を目指し、工場用地の取得など準備を進める。新会社「NDK-ISHIZAKAメタル」の代表取締役に就いた内藤実執行役員関連事業本部長は、「電気設備に欠かせない『銅』を循環させる仕組みを構築していく」と力を込める。
新会社は7月1日付で、産業廃棄物処理を手がける石坂産業(埼玉県三芳町、石坂典子代表取締役)との共同出資で設立した。リサイクル工場は埼玉県内に新設する予定。関東一円の日本電設工業の施工現場から廃電線・廃ケーブルを回収し、被覆を剥ぎ取ったり破砕したりして銅線を分離し、高純度の銅粒「銅ナゲット」を製造する。これまで外部業者に年間数億円規模で売却していた電線類の約半分を自社で処理し、銅の資源循環モデルを築くとともに事業領域を広げる。将来的には取扱品目を増やし、他社の廃棄物受け入れも視野に入れる。
日本電設工業が金属リサイクルに着目した背景には、主力の鉄道電気工事で架線などを定期的に更新するため、建物の新築工事に比べて膨大な廃電線・廃ケーブルが発生することがある。新会社にとっては、銅ナゲットの原料となる電線類を安定的に確保できることが最大の強みだ。
内藤氏は、かつて同社の現場から出た産業廃棄物を引き取った処理業者が不法投棄した事例があったと明かす。23年3月に策定したサステナビリティ方針も踏まえ、「資源循環に責任を持つことが、新たな価値の創造にもつながる」と判断した。
パートナーの石坂産業とは、それまで取引実績はなかったが、同社は「ごみをごみにしない社会」を企業理念に掲げ、住宅解体などで発生する混合廃棄物のリサイクルで豊富な実績を持っていた。両社の理念が一致し、新会社の設立に至った。
現在は操業開始に向け、施工現場から廃電線・廃ケーブルを回収し、銅ナゲットを製造・出荷するまでの具体的なオペレーションを検討している。内藤氏は「現場にどれだけ負担を掛けずに済むかを強く意識している。新会社がこれまでより使い勝手が悪い、融通が利かないという形にはしたくない」と強調する。
銅をはじめとするベースメタル(卑金属)の価格は、新興国での需要増加などを背景に世界的な上昇傾向が続く。内藤氏は「社会生活を支える重要な資源を国内でしっかり循環させる意義が高まっている。資源に乏しい日本で安定的に確保するためにも、何としても実現しなければならない」と語った。








