マーキュリーインテリジェンス/建設業に一番詳しいAIコンサルへ

2026年9月16日 技術・商品 [3面]

文字サイズ

 AIによる生産性向上支援を手がけるマーキュリーインテリジェンス(東京都港区、韓敬三社長)が、建設業の顧客拡大に力を注いでいる。大都市に比べ競合のAIコンサルタントが少ない地方の中小建設会社を中心に、今後1~2年で100社程度の新規開拓を目指す。建設業界では将来にわたる担い手の確保や時間外労働上限規制の順守に苦慮している。AIを現場管理やさまざまな事務作業にに取り入れ、各社の持続可能な成長を支えていく。
 マーキュリーインテリジェンスは、国内外でのM&A(企業合併・買収)や海外進出などを支援するマーキュリーキャピタルのAI事業会社として6月に設立。社長を金融会社出身の韓氏が兼務する。両社の本社は港区内で離れた場所にある。韓氏は「現在は事業会社の立ち上げ期で、トップ営業も必要になる」ため、ほぼ事業会社の方に常駐している。
 AI事業は、デジタル環境が進展したコロナ禍に成長し、マーキュリーキャピタルの売上高の3割程度を占める基幹事業に成長した。今後さらに伸びる余地があるとみて、事業会社の設立に至った。
 マーキュリーインテリジェンスが展開する基本サービスは、個社ごとの課題やニーズに対応してカスタマイズするAIの開発とAIにたけた社内人材の育成研修だ。業務の無駄を改善し、生産性向上に導くための課題分析や課題分析からAI開発・人材研修の実装に加え、ツール普及や専門部署立ち上げといった運用段階の浸透・定着までワンストップで対応する。
 同社によると、マーキュリーキャピタルから展開してきたサービスで支援したのは150社超に上る。政令市や多岐にわたる産業の大企業も含まれる。このうち建設業は地方に本社を置く中小を中心とした約20社にとどまる。
 韓氏が建設業に着目したのは、昨秋に訪れた東北地方での講演だ。聴衆だった地元の建設会社や建築設計事務所などから相談が相次ぎ寄せられたという。「地方の企業でAIを活用して業務を効率化したいという企業は多いが、東京や大阪のように身近に相談できるAIコンサルタントが少ない」と指摘。その上で「管理工数が多く、一瞬のミスが命取りになる現場ではAIで削減できる業務や安全向上など課題解決に役立つことがいっぱいあると思う」と話す。
 ここ最近で建設業の関係者から寄せられた相談では、AIを建設業法に基づく技術者配置や天候情報に考慮した適正な現場管理などに生かせないかという内容が特に多かったという。請負代金の入金明細・請求書の作成などでもニーズが高いとみる。
 事業を先導する同社ソリューションチームのジェームス・マーティン氏は「建設業に一番詳しいAIコンサルになりたい」と意気込む。今後も企業に寄り添った伴走型のコンサルティングを展開。マーキュリーキャピタルのAI事業に関する売上高は公表していないが、今後約5年で現在の大幅増となる累計100億円程度の達成を目指す。
 建設業界を取り巻く環境変化やAI事業の進捗などに応じ、コストの低減効果見越した業界特化型のAIソリューション開発も視野に入れる。