現役のゼネコン技術者が施工時の秘話を伝える--。インフラツーリズムの一環で1日、埼玉県春日部市の首都圏外郭放水路で外国人向けのモニターツアーが開かれた。施工者として放水路の建設に携わった佐藤工業の技術者が同行。建設当時を振り返りながら、構造などの深い説明をして施設を巡るガイドプログラムとして行った=写真。
同日のモニターツアーは東武トップツアーズ(東京都墨田区、百木田康二社長)が企画した。同社はインフラツーリズムの取り組みの一環で、外郭放水路の各施設を回る見学会の企画・運営を担っている。ここ数年は外国人の見学者も増えており、同日は中華圏向けの試行プログラムとして行った。
外郭放水路は、大雨で中川や大落古利根川を含む中小河川の流量が急増した場合、洪水を防ぐため流水を一時的にため込み、時間をかけて江戸川に流す。2006年に完成し、佐藤工業・奥村組・竹中土木JVが施工した。水圧調整を行う調圧水槽は長さ177メートル、幅78メートル、高さ18メートルの巨大な空間が広がり、複数のコンクリートの柱が並ぶ姿から「地下神殿」という愛称で国内外から注目を集める。
参加者はビル5~6階に相当する116段の階段を下り、水槽の底部を見学。工事主任として施工に携わった佐藤工業の宮崎照幸千葉営業所長が、工事の様子などを説明した。
宮崎氏は周囲への環境対策として作業車が通る範囲に舗装と散水を行い、ほこりが出ないよう、「常に気を配っていた」と解説。地域との交流イベントとしてJリーガーを招いたサッカー教室を企画・実施するなど、プロジェクトへの理解促進にも力を入れたことを紹介した。
工事関係者が作業の手を止めてまで地域との交流にも取り組んだことに対し、参加者からは「日本の匠(たくみ)の精神だ。とても素晴らしい」と感動の声が上がった。この言葉に対して見学会後、宮崎氏は「一瞬、言葉が詰まるほどにうれしさがこみ上げた。自身が携わったインフラが注目されるのは本当に誇りだ」と話した。
東武トップツアーズの須田亜矢子春日部支店長はツアープログラムのマンネリ化を防ぎ、価値をより高めることが今後の集客に向けた課題と指摘。「ゼネコンの技術者ならではの視点で、深い説明ができる企画を今後も試みていきたい」と話し、インバウンドの呼び込みにも意欲を示した。









