論説・コラム


2026年4月28日[1面]

回転窓/沈黙は共犯だ

 裸の王様は、なぜあれほど滑稽で、どこか哀れなのか。愚かさよりも、それがそのまま通用してしまう空気のほうが、不気味さを帯びる▼見えない服をまとったつもりで胸を張る王様と、見えているふりをする家臣や民衆。誰もが違和感を覚えながら、最初の一人が口をつぐんだ瞬間、沈黙は合図に変わる。ためらいは静かに広がり、無言の沼に沈んでいく▼一体、誰が悪いのか。王様か、周りか。単純には割り切れない。ただ、どこかに「裸…

2026年4月27日[1面]

回転窓/建設の魅力を伝えるために

 建設工事を円滑に進める上で重要な施工管理だが、その仕事内容が一般に広く知られているとは言い難い▼工程、安全、品質、原価の管理など、現場で担う業務は多岐にわたる。全体を的確にマネジメントし、さまざまな課題を解決しながら竣工に導くのが施工管理者の役割だ▼こうした施工管理という仕事の魅力を若者に伝えようと、岐阜市に本社を置く市川工務店が、シミュレーションゲーム「セコカン!」を企画・制作した。建設現場の…

2026年4月24日[1面]

回転窓/先取りした対策を

 サクラが散った近所の公園で、赤やピンク、白と色鮮やかなツツジが咲き始めた。花見の主役が交代し、4月中~下旬、春から初夏への移ろいを告げる時期を楽しみしていた方も多かろう▼今年はツツジの開花が例年より早いそうだ。その理由は春の気温上昇が早かったため。冬から春にかけての平均気温が高く、ツツジが通常よりも早い段階で休眠から目覚め、つぼみも急いで成長したため、咲くペースが早まったという▼開花が早過ぎて大…

2026年4月23日[1面]

回転窓/パン好きの外国人夫婦の旅行

 神社の参道にあるカフェで、日本に欧州から旅行で来た外国人のご夫婦が、珍しそうにコッペパンの具を選んでいた。選んだ具を店主が調理し、パンに挟んで提供してくれる▼参道にはウナギの老舗も多い。夫婦はカフェの看板メニューでもあるウナギパンと、いくつかのコッペパンを買っていた。会計の列に並んでいると、旦那さんが「日本のお店は小さいけれどとても楽しい」と親しげに話し掛けてくれた▼政府が第5次観光立国推進基本…

2026年4月22日[1面]

回転窓/雪解けは訪れたか

 ふとした瞬間、学生時代に経験した就職活動を思い出す。説明会に参加して企業研究をしたり、徹夜で履歴書を書き上げたり。疲れ切った状態で足取り重く試験会場へ向かった。思い通りの結果が得られず、焦りだけが心に積もっていった▼世はまさに不景気。大卒者の就職内定率は77%と低迷し、極寒の就活戦線だった。面接試験で自分のセールスポイントをすらすらと話すライバルを、うらやましく、時に恨めしく思った▼非正規雇用率…

2026年4月21日[1面]

回転窓/言葉は痩せ、沈黙が太る

 公平と平等は似て非なるものだ。前者は差異を踏まえて配分するすべ、後者は一律にそろえる思考停止の形式だ。だが、その境界は曖昧に溶け、「同じにしないのは不正だ」という短絡が幅を利かせている▼規範と規律、命令と指示。本来は違いを整理するための言葉が、分断の記号として切り出され、単純な善悪に押し込まれる。現場の事情や文脈は追いやられ、意味もそがれ、旗印だけが増殖していく▼言葉は現実をすくう網のはずだった…

2026年4月20日[1面]

回転窓/悩むより行動を

 本紙に毎週月曜掲載のインタビューシリーズ「駆け出しのころ」は、12年前の2014年11月にスタートした。これまでに500人近くが登場し、新人時代のことなどを語ってきた▼進路を選んだ理由や仕事での忘れられない出来事、出会った人々…。限られた取材時間の中で話題は尽きない。とりわけ多くの人が鮮明に覚えているのは、若い頃の「失敗」である▼誰もが失敗やミスは避けたいが、どれだけ注意を払っても現実には難しい…

2026年4月17日[1面]

回転窓/解体ではない道

 著名な建築家が設計した有名な建築物でも、老朽化や耐震不足などを理由に解体される。日本を代表する建築家・丹下健三氏(1913~2005年)が設計し、その外観から「船の体育館」と呼ばれ親しまれた「旧香川県立体育館」の解体工事が10日に始まった▼64年に完成した船の体育館は丹下氏が手掛けた戦後モダニズム建築の秀作だ。県内にはほかにも丹下氏設計の「県庁舎東館」があり、こちらは耐震改修し、22年に国の重要…

2026年4月16日[1面]

回転窓/火山と共生する人の言葉

 日本アルプスなど3000メートル級の山々を頂く各地の山小屋で、今シーズンの営業に向けた準備が始まった。富山県のある山荘では、現地入りした従業員が晴天のたびに次々と布団を屋根に干していると聞いた▼長野県と岐阜県にまたがる標高3067メートルの御嶽山。9合目の山荘は7月からの再開を決め、5月から宿泊予約を受け付けるそうだ。その山荘だけでなく、近くの山小屋や麓の温泉宿も、今夏は宿泊予約への期待が一段と…

2026年4月15日[1面]

回転窓/10年の思いを紡ぐ

 九州屈指の絶景ドライブロード「やまなみハイウェイ」をご存じだろうか。大分県別府市と熊本県阿蘇市を結ぶ全長約50キロの県道の愛称である。標高の高い山々を貫くように通り、草原の大パノラマが広がる▼沿道には、大自然を体感できる牧場や温泉といった観光名所も多い。中でも人気なのが、九州3大名湯の一つとされる熊本県南小国町の黒川温泉だ▼昨夏に旅行で訪れた時、旅館の女将(おかみ)から「地震ではこの周辺でも土砂…

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