東京海上HDら/新本店ビル(東京都千代田区)で環境配慮に注力、28年8月竣工へ

2025年5月2日 工事・計画 [4面]

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 東京海上ホールディングス(HD)らが東京都千代田区で推進している「(仮称)東京海上ビルディング計画」の詳細が明らかになった。高効率設備の導入や断熱性の向上を通じ、環境負荷を低減。建築物省エネ法で定める省エネ基準に対し、1次エネルギー消費量を37%削減する。設計を三菱地所設計、施工は竹中工務店・大林組・清水建設・鹿島・大成建設・戸田建設JVが担当。新築工事に3月着手しており、2028年8月の竣工を目指す。
 事業は東京海上HDと東京海上日動火災保険の2社で推進している。建設地は丸の内1の2(敷地面積1万0147平方メートル)。新丸の内ビルディングの西側に隣接し、行幸通りに面している。
 計画名は「(仮称)東京海上ビルディング計画」。建物は地下SRC、地上S・W造地下3階地上20階建て延べ12万4454平方メートルの規模とする。高さは107メートル。基礎工法は直接基礎を採用する。国内最大級の木質ビルになる見通し。
 熱源を機械室などに集約する中央熱源方式を採用する。高効率な機器を入れ、負荷に応じて水や空気の流量を調整する変流量制御・変風量制御の機能も備える。全熱交換器も導入。換気に伴う空調エネルギーのロスを抑える。
 人感・明るさセンサー付きのLED照明も入れ、照明にかかるエネルギーを最少化する。Low-E複層ガラスの導入で外皮性能を高める。
 取り組みを通じ、1次エネルギー消費量は基準値(年間約18万ギガジュール)の37%減となる約11・3万ギガジュールに抑える。二酸化炭素(CO2)排出量も基準値(年間8815トン)の37%減の5553トンに減る。
 木材利用も環境負荷低減に役立つ。建設時のCO2排出量は一般的な同規模のビルと比べて3割程度抑えられる見通し。新たなビルは木の柱と梁でできたビルを、ガラスのカーテンウオールで覆ったような外観が特徴。床の構造材にCLT(直交集成板)を採用するなど、可能な限り多くの木材を利用する。
 以前の本店ビルは1974年の竣工で、延べ約6・3万平方メートルの規模。建築家・前川國男が設計した唯一の超高層ビルだった。竹中工務店JVの施工で24年までに解体を終えた。