日建連/設計段階からPCa工法採用要望、対象構造物の規格・標準化で活用拡大を

2025年5月9日 行政・団体 [1面]

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 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)が会員企業に行った調査によると、プレキャスト(PCa)工法が適用できる国土交通省発注の道路・河川工事のうち、設計段階から同工法を採用した現場は19%にとどまることが分かった。ボックスカルバートとL型擁壁のPCa工法採用率(体積ベース)はともに8%。9割以上を現場打ちコンクリートが占めた。主要コンクリート構造物で依然としてPCa化が進んでいない。日建連は対象構造物を規格化・標準化した上で、PCa工法を設計段階から採用するよう発注者に求める。
 日建連は2024年10、11月に「円滑な施工の確保に関するアンケート調査」を実施。会員企業58社を対象に23年10月~24年9月末に竣工したか施工中だった3億円以上の土木工事(高速道路や鉄道など民間工事を含む)現場で、PCa工法の採用状況などを聞いた。
 採用状況(複数選択可)は、全発注機関(1479現場)で「設計段階からの採用」は23%だった。国交省発注の道路・河川工事(224現場)を見ると、「設計段階からの採用」が19%、「提案したが不採用」は4%。不採用の理由には「コスト」が多く挙がった。
 L型擁壁でPCa工法を採用した割合(体積ベース)を発注機関別に見ると、機構・事業団が89%、国交省(港湾・空港)が60%、高速道路会社が33%となった。一方、国交省(道路・河川)は8%にとどまり、ボックスカルバートも8%だった。国交省発注の道路・河川工事でPCa工法の採用が少なく、現場打ちコンクリートの施工が多い結果となった。
 日建連は「PCa工法は工期短縮や安全性向上のみならず、省人化にも大きな効果がある」とし、設計段階からの採用を発注者に訴えていく。ハーフPCaやサイトPCaを含むPCa工法のさらなる活用拡大に向け、コスト以外に省人化や施工性、維持管理などを評価基準とする「VFM(バリュー・フォー・マネー)」の考え方を採用したマニュアルを全ての地方整備局で導入するよう求める。