鹿児島県は鹿児島港本港区エリア(鹿児島市)で計画するスポーツ・コンベンションセンターについて、6月補正予算案に設計者選定の審査会運営費として400万円を計上した。別途、設計業務などの委託費として2026~28年度の限度額9億0300万円の債務負担行為を設定。議会での予算承認を経て、9~10月ごろに設計者選定の公募型プロポーザルを公告し、25年度中に最優秀提案者を選定する。
26日に県議会向けに説明会を開き、今後の整備方針を報告した。補正予算案では審査会運営費のほか、周辺交通量に関する調査費2800万円を計上。債務負担行為の設定額の内訳は、施設本体の基本・実施設計費8億1000万円、試掘・測量・地質の調査費9300万円。
事業用地は本港新町、泉町、住吉町(敷地面積約3ヘクタール)。スポーツ振興と交流拠点の機能を併せ持つ延べ3万平方メートル程度の施設で、メインアリーナ(観客席8000席)やサブアリーナ(500席)、武道場(400席)、弓道場(150席)などを設ける予定としている。
スポーツ・コンベンションセンターの整備・運営を巡ってはBTO(建設・移管・運営)方式のPFIで事業を実施するため、24年4月に一般競争入札(WTO対象)を公告したが建設費上昇などが影響して不調に終わった。事業者ヒアリングの結果や金利高騰の影響などを踏まえ、事業手法をPFIから設計業務や工事を分割発注する従来方式に変更。事業費縮減のため、観客席の一部削減も検討していた。
3月時点で推計した建設費は当初計画を維持した場合で423億円。観客席の仕様変更を踏まえると17億円の削減も見込まれたが、県内の市町村長との意見交換では「客席削減で中途半端な施設になる」と規模縮小を懸念する声を受けた。建設コストの抑制より長期にわたる経済波及効果を優先する方が有益と判断し、当初の施設計画のまま設計に着手する方針を固めた。