日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)の押味至一副会長土木本部長ら土木本部幹部が16日に名古屋市内で会見し、全国9地区で国土交通省地方整備局など公共発注機関と実施した2025年度意見交換会を総括した。公共事業予算の確保や働き方改革の推進、担い手確保などをテーマに議論。押味本部長らは毎年の要望の成果が表れていると成果を述べた上で、「各整備局が自分たちの色や特徴を出していた」と公共発注機関の姿勢を振り返った。
日建連は意見交換会に当たり、時間外労働の実態や入札契約制度、新技術活用の支援状況などを発注機関別に調査し最新データをまとめた。押味本部長は「国土強靱化を進めるには必要な予算の確保が第一だ。きちんと予算が確保でき事業が順調に滞りなく進むよう、各整備局も自信を持って取り組んでいることが分かった」と述べ、共通認識の深化に手応えがあったとした。
進行役を務めた清水琢三副会長土木本部副本部長は、働き方改革などに関連する整備局の施策について「かなり頑張っていることを年々感じる」としつつ、「生コンの問題が深刻」と危機感を表明した。生コンクリート打設の時間制約など、昨春以降現場で顕在化している事態を「問題提起しているがまだ伝わっていない」と指摘。「工期延伸や費用増の影響があること、現場条件が違うことを理解してもらい個別対応する方向に持っていきたい」と今後の方向を示した。
竹中康一理事土木本部副本部長は「担い手確保には生産性向上が重要だ。新技術を取り入れ、プレキャスト(PCa)活用の機運も出てきた」と手応えを語った。整備局などが現場の働き方改革につながるガイドラインなどを作成する回答もあり、今後の展開として「どう活用するかが大事だ」と述べた。国谷一彦理事土木本部副本部長も「PCaを設計段階から織り込む話もあった。全国に広まると望ましい」と今後に期待した。一方「生コンやクレーンの影響が具体的に出始めている。常態化するなら歩掛かりの見直しや経費率をどう見てもらうかを関係機関と協議する必要がある」と訴えた。
来年度の意見交換会に向けて押味本部長は「来年は芯を突いたデータでやりとりしていく。テーマを見直し、何に困っているかを整理・訴えることも必要だ」と強調した。続けて「新4K(給与、休暇、希望、かっこいい)の給与の実現に向けどうすればいいのかも考えなければいけない」とし、重要な活動テーマとして議論を深める考えを示した。