全建会員調査/生産性向上の取り組み、新技術の検討・採用は7・5%

2025年7月10日 行政・団体 [2面]

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 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)が会員企業を対象に新技術や新工法の採用状況を調べたところ、受注工事の詳細設計などで発注者によって省人化に配慮した新技術や施工方法が「検討・採用されている」と答えたのは7・5%にとどまった。一方、「検討・採用されていない」は28・9%、「検討されているが採用されていない」が11・7%となり、新技術を採用していない工事が約4割を占めた。また「分からない」は半数を超える結果となった。
 2024年度生産性向上の取り組みに関するアンケートには会員企業1958社が回答。会員企業の主な受注先は都道府県(51・3%)、市区町村(20・1%)、国土交通省(15・6%)の順に多く、約7割の社が主に地方自治体から工事を受注している。
 「検討・採用している」と回答した社では、新技術や施工方法として▽ICT施工▽プレキャスト(PCa)製品の採用▽残存型枠工事▽AI交通誘導員▽建設ディレクターの育成・採用▽通信回線のない現場における衛星通信(スターリンク)の活用▽機械式継ぎ手-などの回答があった。会員企業からは「地方の零細企業では技術者不足・建設業離れが大きな課題。市町村発注の規模の小さな工事まで設計にICT施工を盛り込んでほしい」など切実な声が寄せられた。
 現場技術者の負担軽減、管理業務の生産性向上のために現場支援として取り組んでいることを聞くと(複数回答可)、「社内書類の削減・簡素化等」が46・7%と最も多く、次に「受発注者間の情報共有システム(ASP方式)活用による現場情報共有」(45%)、「遠隔臨場による監督・検査」(29・3%)の順となった。すべての項目で前年度よりも取り組みが進んでいた。
 会員企業からは「(発注機関の中には)いまだに紙面での書類提出を要求する地方官庁がある。何とか改善してほしい」といった要望が寄せられた。ほかにも「発注者内部での確認作業をアプリケーションで処理すべき。今でもハンコ回しで時間がかかりすぎではないか。まずは、公共事業発注者が実践することで生産性を上げることにつながる」との指摘もあった。
 工事書類の様式などが発注者ごとに異なることも問題視。「簡素化やデジタル化を進める上で温度差がある。統一様式や考え方の共有が進めばさらに生産性の向上、省人化が進むのではないか」と訴える社も少なくない。「国交省で工事関係書類などの適正化が進んでいるが、地方自治体はまだまだこれから。取り組みすら行われていない団体もある。国の主導の下、今後も工事関係書類などの適正化を進めていただきたい」と要望する社もあった。