鹿島ら/3Dで現場状況瞬時可視化/施工管理業務の生産性向上

2025年9月10日 技術・商品 [3面]

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 鹿島は、現場状況の3Dモデルをリアルタイムに更新・確認できるシステムを開発した。現場が見通せる位置に複数のカメラとLiDAR(ライダー)をセットで設置。同時撮影で取得した画像データと点群テータをクラウドサーバーで合成し、色付きの3Dモデルを作成する。事務所にいながらリアルタイムに寸法や重機作業の範囲などが確認できる。
 新システムは「リアルタイム3Dスキャン」として、日立産業制御ソリューションズ(東京都台東区、上田元春社長)と共同開発した。現場の複数箇所にセットで設置したカメラとライダーの取得データを解析用クラウドに転送。▽画像と点群データの結び付け▽高精度なモデル生成のためのクリーンアップ▽色付きの3Dモデルとオルソ画像(図面と重畳できる精度の航空写真)の生成-の三つのステップを高速処理する。
 東京都八王子市で施工している「R2国道20号八王子南BP館第二トンネル工事」(発注者・国土交通省関東地方整備局)の現場に導入した。現場から離れた事務所で関係者が共有できる環境を構築。刻々と変わる覆工板上の開口部や施工配置などの現場状況をリアルタイムに把握、共有でき、工事関係者間の作業内容の確認や工程調整といった施工管理業務を大幅に効率化した。3Dモデルで従来の定点カメラやドローンの写真では困難だった距離測定も可能になり、クレーンの荷揚げなど施工計画の生産性も向上した。
 今後は新システムをさまざまな施工管理業務に展開していく。今回の導入現場で培った知見も生かし、さらに改良する。将来はIoTで現場情報を一元管理するシステム「Field Browser」と統合。施工管理の業務効率を高めつつ、安全水準の向上も目指す。