国交省・楠田幹人不動産・建設経済局長/受発注者の相互理解と発展へ

2025年7月23日 行政・団体 [1面]

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 1日に就任した国土交通省の楠田幹人不動産・建設経済局長が日刊建設工業新聞などの取材に応じた=写真。12月までに全面施行する改正建設業法の円滑で実効性ある運用に注力し「適切な価格転嫁や物価上昇に負けない賃上げを実現し、担い手確保につなげる。発注側として官だけでなく民も含め、サプライチェーン(供給網)全体で共通認識を持ってもらいたい」と強調。建設、不動産の両業界を所管する立場から「互いに理解し合い、どちらも発展していけるよう、行政として応援し役に立つことをしたい」と意欲を示した。
 建設コストが高騰し市街地再開発の事業見直しを迫られるなど、不動産業界も厳しい状況に直面していると認識する。こうした中で「建設側も生産性向上に努力していることを発注側に伝えられないと理解は得られない」と指摘。中小建設会社の生産性向上などを支援しながら「改正業法の施行を機に両者のコミュニケーションを促し、より良い関係を築けるよう呼びかけたい」と話した。
 改正業法は「新しいルールについてガイドラインをつくり周知する」とし「労務費に関する基準(標準労務費)」の設定を「実効ある形で使われる方策とセットにして制度化する」。6月には有識者会議「今後の建設業政策のあり方に関する勉強会」を設置。「社会経済情勢の変化もあり、企業の経営や技術が問われている。幅広く議論してもらい、今後の制度改正や産業政策のベースになるものをつくる」と重要視する。
 建設分野で外国人材の育成就労制度を運用するための準備も加速。「海外人材の獲得競争は熾烈(しれつ)だ。賃金だけでは勝負できない。しっかり育成する仕組みを入れる国は、ほかに多くないと思う。うまく仕込み、売りにして、外国人材の確保を円滑に進めたい」とした。