国交省/旭川ダム再生事業、新規事業採択時評価手続きに着手

2025年7月24日 工事・計画 [11面]

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 国土交通省は旭川ダム(岡山市北区、岡山県吉備中央町)の洪水調整機能を強化するダム再生事業について、2026年度当初予算に向けて新規事業採択時評価の手続きに着手した。20年に事業化された既存の再生計画を見直し、ダム下流側に新たな堤体を築造し、ダム貯水池を有効活用することで洪水調節機能を増強する。県への意見聴取に加え、学識経験者などで構成する委員会からも意見を聞き、最終的な新規事業化を決定する。
 旭川水系旭川ダムは1954年に完成した重力式コンクリートダム。堤高は45メートル、堤頂長212メートル、堤体積14万6000立方メートル。総貯水容量は5738万2000立方メートル。洪水調節のほかに水道用水の確保や発電に利用している。
 19年の新規事業採択時評価のときは、既存ダムの利水容量を洪水調節に振り替え、放流機能を増強する計画だったが、気候変動で降雨量が増加している現状を踏まえ、7月に旭川水系河川整備計画を変更。目標流量を毎秒6500立方メートルから6900立方メートルに引き上げ、増量分は洪水調節で対応する。洪水調節容量は従来の毎秒1500立方メートルから1900立方メートルに増やす。
 新たなダム再生計画では利水容量は現状(2877万2000立方メートル)のまま変えず、洪水調節容量を2300万立方メートルから2500万立方メートルに増やす。既存ダム堤体の下流側に大型の堤体を新たに設け、ダム放流設備を増強するなどして2500万立方メートルの洪水調節容量を確保する。
 さらに大雨が予想される場合は利水容量から400万立方メートル分を事前放流により確保する。河道掘削や堤防整備などと合わせて降雨量増加に対応できる十分な流下能力と貯留能力を確保する。事業費は約1910億円、維持管理費は50年間で約150億円。うちダム再生に約1100億円を見込む。