北陸整備局湯沢砂防/大源太川第1号砂防堰堤のバーチャルツアー検討

2025年8月28日 行政・団体 [8面]

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 北陸地方整備局湯沢砂防事務所は、局管理で新潟県湯沢町にある登録有形文化財の土木施設「大源太川第1号砂防堰堤」にインフラツーリズムで訪れる観光客を増やす施策として、バーチャルツアーを加える検討を始めた。
 大源太川第1号砂防堰堤と周辺施設を360度カメラで撮影した画像を基本に、オンライン上で現地に行かなくてもその地の雰囲気をタブレット端末やスマートフォン画面で見られるようにする予定。湯沢砂防事務所はバーチャルツアーというサービス展開は、より幅広い客層に興味を持ってもらうきっかけになるのではとの見解を示している。バーチャルツアーの検討については9月9日に新潟市中央区の北陸整備局で開く事業研究発表会で報告される。
 大源太川第1号砂防堰堤は高さ18メートル、長さ33メートルのアーチ式砂防堰堤で1939年11月に完成した。その形や構造、先進的な築造技術はその後のアーチ式堰堤、高堰堤の手本になったと考えられており、2003年に登録有形文化財に指定された。
 表面に割石を使った堤体から流れ落ちる流水は天然の滝のように見え、周囲の景観とも調和している。その姿は「大源太キャニオン」と呼ばれるようになり、湯沢町の観光名所の一つとして親しまれていた。
 だが、完成から80年近くが経過し堰堤内部に空洞化した場所が見つかるなど劣化が進み、補強が必要になっていた。このため、北陸整備局は14年度に補強工事の準備を開始し、22年に補強工事(施工は佐藤工業が担当)を完了した。
 これを受け北陸整備局本局、湯沢砂防事務所と湯沢町は、砂防堰堤とその周辺を巡る来場者の安全対策や、行ってみたくなる心に刺さる情報発信の方法、観光ツアーのやり方などを検討し、実施する「大源太砂防設備他利活用協議会」を22年3月に設立。周辺の観光資源を組み合わせたツアーを実施するなどの活動を展開している。
 こうした活動が評価され、23年8月に国土交通省のインフラツーリズムモデル地区に指定された。
 さらに23年10月にはメンバーに新たに湯沢町環境まちづくり機構、雪国観光圏、JTB、国交省を加えて協議会組織を拡大。インフラ見学ツアーなどを行っている。