三井住友建設は、山岳トンネルの鋼製支保工を省力化する技術を開発した。360度カメラや3D点群データを投影するナビゲーションモニターなどを活用し、エレクター付き吹き付け機の配置や鋼製支保工の建て込み、支保工天端部の連結ボルト締結、金網設置に至る一連作業を、切羽から離れた場所で完結する。今後は現場に積極適用し、支保工から得られるさまざまなデータや知見を収集。鋼製支保工作業の全自動化に発展させていく。
新技術は「3次元点群データを用いた鋼製支保工建込システム(離れte支保工)」として、ニシオティーアンドエム(大阪府高槻市、北俊介社長)と協力して開発した。
360度見渡せるフルラジアル式カメラシステムを利用し、前方に誘導員を配置せずエレクター付き吹き付け機を移動・誘導する。支保工の建て込みではエレクター付き吹き付け機に搭載した計測機で3D点群データを取得し、同社保有の出来形計測技術「トンネル覆工巻厚管理システム(3D-TLIMAS)」と連携。切羽掘削面や既設支保工、エレクターで移動する支保工の情報や目標設置位置をナビゲーションモニターに投影することで、オペレーターは作業員の補助なしで支保工が建て込める。
支保工天端部の連結ボルトにはワンタッチ式継手ボルトを採用し、エレクター付き吹き付け機のオペレーターが遠隔から支保工を連結できる。支保工設置後、エレクターで支保工を握った状態で脚部にコンクリートを吹き付けて固定し、従来の継ぎ材設置作業を省略する。
厚生労働省によると、切羽作業で発生する労働災害の約4割を鋼製支保工の建て込み作業が占める。三井住友建設は作業の安全や効率を高めるツールとして現場に展開していく。