旭建設(宮崎県日向市)は、4日に宮崎県発注の地滑り対策工事現場でドローン遠隔操縦による3D測量の実証実験を行い、成功した。西米良村の現場のドローンを直線距離で約35キロ離れた同社本社のDXルームから遠隔で操縦し、遅滞なくスムーズな飛行制御を確認した。現場は携帯電話の電波も届かない場所であることから低軌道衛星ブロードバンドサービス「スターリンク」を使用した。同社によると、ドローン遠隔操縦による3D測量は九州で初という。
同工事は、延長40メートル、幅11メートルの地滑り対策工事で、掘削土量は約1100立方メートル。工期は2026年3月25日まで。今回はのり面の掘削完了時の出来形管理のため、ドローンによる3D点群データの取得と写真撮影を行った。
ドローンは同社が所有する機体を使用。安全対策として、通信途絶のリスクに備えた現場監視員の配置や俯瞰(ふかん)カメラによるドローンの飛行位置の確認、操縦ミスによる衝突や行方不明を防ぐ飛行可能エリアの設定を行った。現場とDXルームのコントローラーを通信でつなぎ、遠隔操縦を可能にした。現場監視員が一定高度までドローンを上げ、その後DXルームのオペレーターが操縦し、20分ほどで作業を終えた。
今回の技術が確立すれば本来現場に監視員と操縦者、補助者の3人が赴き行っていた作業に必要な人員を1人に減らすことができる。今回の現場は本社からの移動距離が約100キロで片道2時間かかる場所であり、移動時間削減による生産性向上を達成した。
監視員は普段から現場に行く必要がある現場代理人などが担当する。現場でスターリンクなどの通信環境を整えるなど一定のトレーニングが必要としている。
操縦したDX推進室のエンダレイ・ウー氏は「映像だけでドローンを操縦するのは距離感がつかみにくく怖さもあった。通信環境を整える準備など課題もある」と話した。
木下哲治専務は「地方の建設業にとって移動時間や通信環境は大きな課題。これらのハンディキャップを最新技術で解消し、社員の安全を守り作業効率良くすることが地域建設業の未来を開くと確信している」と技術の確立を目指す。








