大和ハウス工業は3日に千代田区の東京本社でマンション事業の説明会を開き、事業の機軸を量的拡大から利益重視に転換する方針を明らかにした。2026年3月期に同事業の営業利益を25年3月期比37・5%増となる150億円に引き上げる。営業利益率は5・2%(25年3月期4・0%)を目指す。
土地価格や建築費の高騰を受け、国内のマンション供給戸数は21年の7万7552戸から減少基調となり、25年は5万戸台の見込み。同社は高付加価値の物件提供に力を入れ、利益や資金効率を高める。再開発分野では医療施設や子育て支援施設などを整備し、地域環境の改善につなげる。駅前でのタワー建設などランドマークプロジェクトに照準を合わせる。
ただ建設費の高騰で再開発事業を取り巻く環境は厳しくなっている。富樫紀夫上席執行役員マンション事業本部長は「再開発も瀬戸際まで追い込まれた案件がいくつもある。大和ハウスとしての評判や全国の営業所への影響などを考え、一つも撤退せずに進めている」と話した=写真。
複合開発を「大和ハウスの強みが今一番発揮できる」(富樫本部長)分野と捉えアクセルをより踏み込む。グループの幅広い事業領域を生かし、分譲マンションを柱に商業施設や医療施設、オフィス、ホテルなど複数の都市機能を街区内に持たせる。マンション居住者だけでなく、周辺住民の生活利便性を高める街並みを構築する。
千葉県船橋市ではRC一部S造地下1階地上51階建ての再開発ビルを建設中。JR船橋駅を中心にした駅前の複合開発で、ビルには住戸や店舗、オフィスなどが入る。歩行者の回遊性を高めるとともににぎわいも創出。船橋のランドマークを目指している。28年3月の竣工を予定している。