国交省/自動施工の部分的導入推進/25年度試行、地域建設会社に普及へ

2025年9月4日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は、建設機械による自動施工の裾野を拡大するため、2025年度から一部の工程に限った部分的な自動化を後押しする。自動施工のハードルを下げることで、地域を基盤とする中小規模の建設会社への普及を目指す。市場にある汎用(はんよう)的な自動化建機を「自動施工モジュール」と位置付け、導入方法をまとめた要領類を作成する予定。この前段階として、直轄工事で部分的な自動化を前提とした試行に取り組む。
 産学官で構成する「建設機械施工の自動化・自律化協議会」の会合を2日に開き、今後の方針などを説明した。
 従来はダムなどの大規模土工事で大手ゼネコンを中心に自動施工を試行していた。地域建設会社が手がける中小規模工事にどう水平展開するかが課題になっていた。そこで複数工程が連携した全自動施工だけでなく、ダンプによる運搬や、バックホウによる積み込みといった要素技術に絞って実装する手法も試行対象に加える。さらに独自の自動化システムを開発しなくても、一般的なシステムを用いることを前提にして導入のハードルを下げる。
 活用範囲が広い自動ダンプや自動バックホウなどを自動施工モジュールと位置付け、既存の施工計画に組み込むことで実装を促す。施工者が自動化したい作業を選択した上で、汎用システムの中で自社の現場に適用可能な自動施工モジュールを選定する流れとなる。こうした導入方法を要領類にまとめ、部分的な自動化に取り組みやすくする。
 国交省が要件設定することでモジュール間連携を支援する「自動施工シミュレーター」の開発を後押しし、施工プロセス全体の最適化を目指す方針も掲げる。シミュレーターでは自動施工に必要なコストと、施工の効率化・省人化効果をトータルで試算し、導入ができるかどうかを判断可能にする。これを施工者に提供することで、自動施工に踏み切れなかった中小建設会社への普及を促進する。