東京都が都有地を使ったまちづくりに力を入れている。渋谷区の神宮前五丁目地区は、現在港区にある都立中央図書館を同地区に移転する。同じく渋谷区の東京都児童会館跡地などでは新たに複合施設を建設している。港区の北青山三丁目地区では、青山通りの沿道にある民有地と、同地に隣接する都有地を一体的に再整備。総延べ約18万平方メートルのビルを建てる計画だ。
神宮前五丁目地区にある都有地は▽旧こどもの城(敷地面積9924平方メートル)▽青山病院跡地(1万7533平方メートル)▽コスモス青山(1万0646平方メートル)▽国連大学(7044平方メートル)-の計約4・5万平方メートル。
都は4月に同地区のまちづくり方針を策定した。老朽化が進む中央図書館を同地区に移転し、人々の交流拠点やコミュニティーの核に位置付ける。約1200席規模の劇場も建設する方針だ。官民でつくるチームが、まちづくりのマネジメントを担うことを想定している。建物は冗長性や可変性を考慮し、ニーズの多様化に迅速に対応する。
渋谷区の都児童会館跡地では、隣接する区有地を含めたエリア(渋谷1、敷地面積9671平方メートル)で再開発ビルの建設が進んでいる。再開発事業を担っているのはヒューリックと清水建設が設立した渋谷一丁目開発。地下2階地上14階建て塔屋1階延べ約4・7万平方メートルの複合施設を建設中で、2026年度の工事完了を目指している。
港区の北青山三丁目エリアでは、旧都営青山北町アパートの一部が立っていた地域と、その東側に隣接する青山通りの沿道地区を一体化した再開発が進んでいる。施行者は都市再生機構で、施行区域面積2・9ヘクタール。区域を二つの街区に分けている。
建設するビルは2棟。一つはS一部SRC・RC造地下2階地上38階建て延べ約17万9500平方メートルで、もう一つはS・RC造地下2階地上3階建て延べ約2000平方メートルの規模となる。29年度ごろの竣工を予定している。
大林組が既存建物を解体し、新築工事には26年中の着手を予定している。新たな建物の基本設計は日本設計、実施設計と施工は大林組が担当している。
旧都庁舎跡地がある千代田区の有楽町駅付近では、都を含め、駅周辺に土地を所有する複数の地権者が23年6月に市街地再開発準備組合を設立した。再開発の方向性やスケジュールなどを検討している。関係地権者は▽東京高速道路▽東京交通会館▽三菱地所▽読売新聞東京本社▽東京都-の5者。