八芳園/MICE事業を強化/30年度に総売上130億円へ

2025年9月18日 企業・経営 [4面]

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 結婚式場や宴集会場などを運営する八芳園(東京都港区)は1943年の創業以来、最大規模の改修工事を完了した。従来の婚礼中心の事業体制から脱却。婚礼事業に加え、MICE(国際的なイベント)事業などを強化することで収益を底上げする。グループ4社の総売上高を2024年9月期の95億円から、30年9月期には130億円に拡大する。
 八芳園(白金台1の1の1)は2月1日に休館し、山崎健太郎デザインワークショップの設計、安藤ハザマの施工でリニューアルに入っていた。10月1日にグランドオープンする。
 八芳園グループは20年の新型コロナウイルスの流行を契機に事業構成の見直しに着手した。グループ4社の13年9月期の総売上高は94億円。婚礼事業が82%、その他事業が18%の比率だった。
 24年9月期の売上高に占めるその他事業の比率は34%(婚礼事業66%)と、徐々にその割合を広げていった。目標年度とする30年9月期のその他事業の売上高比率は52%(婚礼事業48%)と、50%以上を占める計画だ。
 17日に八芳園で記者会見した関本敬祐取締役総支配人は「組数ではなく、結婚式の価値を実感いただくことで、高単価の婚礼事業運営を進める。その他の事業の収益化も目指す」と話した。MICE事業の強化のほか、白金台、高輪エリアの魅力発信や、文化資産を使った体験を展開するエリアプロデュースにも注力する。
 改修後の建物入り口は婚礼用とMICE用で分けた。婚礼の場合は車寄せエリアからそのまま入館する。MICEで使う場合は、エレベーターと階段で5階や6階の会場に向かう。設計を担当した山崎健太郎氏は「婚礼とMICEで建物の機能が大きく異なる。約600平方メートル床面積を減らしてエレベーターなどを設置することで人の流れを分けた」と説明した。