TACが知事許可取得/26年春本格始動へ体制整備進む/合同研修で高度な教育機会も

2025年12月11日 企業・経営 [1面]

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 東北アライアンス建設(TAC、福島県郡山市、陰山正弘社長)が11月に建設業の知事許可を取得した。来春の本格始動に向け、運営ルールの整備や人員配置、営業・施工体制の構築を急ぐ。新会社の設立発表後は「想定を上回る協業の打診や、大手企業からの相談が寄せられた」(陰山社長)といい、まずは東北エリアの民間建築を中心に受注獲得を狙う方針だ。人材育成では来春、出資各社の入社1~5年目の若手を対象に合同研修会を開き、スキル向上と共通マインドの醸成を図る。
 TACは、東北6県の地域建設会社7社とみずほ銀行の共同出資で6月に設立された。広域連携を基盤に、みずほ銀行が持つ東北各県のネットワークや異業種との協働も取り込み、新たな建設会社のモデルづくりを目指している。
 日刊建設工業新聞の取材に応じた陰山社長は、11月の知事許可取得に触れ「全国で施工が可能になったが、まずは東北に軸足を置いて営業活動を展開する」と説明。企業活動を支える要となる技術者については、「経験豊富なセカンドキャリアの迎え入れ」などを進めており、組織体制が整いつつある。人材派遣の活用や出資会社からの出向も検討している。当初は3年をかけて経営基盤を固める計画だったが、「来年からの工事受注も十分に見込める状況」と見通しを語った。
 来春の本格始動後は民間建築の受注活動に加え、若手育成、上場企業や大手企業を含むパートナーシップの構築、協力会社の基盤強化に注力する。合同研修は4月下旬に仙台市内で実施予定。単独企業では難しかった高度な教育機会を共有し、相互刺激によるモチベーション向上を狙う。
 パートナー戦略では概念実証(PoC)を含め、メーカーやスタートアップなど建設業界の枠を超えた協業を推進。生産性向上や経営力強化を見据えて技術を核にした取り組みを広げ、成果は出資各社への展開も視野に入れる。協力会社の体制整備では、コンプライアンスやリーガルチェックを徹底し、本格始動後のあるべき姿を固める。
 陰山社長はこのほか、災害対応と情報共有、企業ブランディング、事業承継に課題を抱える地域建設会社との連携、出資会社間の意思疎通などもテーマに挙げる。既存の枠組みを超え、地域連携と異業種協働を軸にした新たなビジネスモデルの早期確立を目指す構えだ。
 □TACに出資している地域建設会社□
 △陰山建設(福島県郡山市、陰山正弘社長)△大森建設(秋田県能代市、大森三四郎社長)△幸栄建設(山形県東根市、佐藤信勝代表取締役)△タカヤ(盛岡市、細屋伸央社長)△深松組(仙台市青葉区、深松努社長)△藤本建設(青森市、長谷川学代表取締役)△NICHIUN(青森市、藤本宏涼代表取締役)