全中建/ブロック別意見交換会スタート/中部地区の現状報告、環境改善へ課題共有

2025年9月22日 行政・団体 [10面]

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 全国中小建設業協会(全中建、河崎茂会長)と国土交通省による2025年度ブロック別意見交換会がスタートした。18日に名古屋市中区のアイリス愛知で行われた中部地区を皮切りに全国6地区で実施。中部地区の関係団体からは中小建設業の厳しい現状が報告され、環境改善に向けた課題を共有するとともに、官民が協力・連携しながら持続可能な事業環境を創出していくことを確認した。
 中部地区の意見交換会には全中建の幹部のほか、国土交通本省、中部地方整備局、愛知県土木研究会、愛知県舗装技術研究会、愛知県建築技術研究会、静岡県中小建設業協会の関係者らが参加した=写真。
 冒頭、全中建の河崎会長は、若者から選ばれる建設産業を目指す上で「優良な中小建設業者が存続し、地域社会に貢献する力強い地場産業として、その役割を十分果たしていける基盤を築くことが重要だ」と訴えた。
 関係団体を代表し、愛知県土木研究会の大矢伸明会長は人手不足や資材高騰、酷暑などによって経営環境が一段と厳しさを増していると説明。災害発生時に第一線で活躍する地元の中小建設業者の存続が危ぶまれていることを踏まえ、「業界の頑張りだけでは力が足りず、(官民が)両輪で良好なパートナーシップを築けるよう努めたい」と参加者らに呼び掛けた。
 続いて、国交省の不動産・建設経済局建設業課入札制度企画指導室の酒井大斗課長補佐が建設業行政の動向や課題などを説明後、各団体からさまざまな意見・要望が示された。
 主な要望事項は▽週休2日制による労働日数減少分の日給アップ(1・2倍)▽下請企業の賃金形態を月給制にする施策の検討▽最低制限価格、低入札調査基準価格を予定価格の95%以上に引き上げ▽週休2日制の推進に向けた市町村、民間発注者への指導・働き掛け▽週休2日が困難な現場での経費補正や休日単価計上▽スライド条項の弾力的な運用が進むよう県への指導・働き掛け▽提出資料の簡素化とデータでの提出▽高温日の発注者からの休工指示など熱中症対策の拡充▽総合評価での自由設定項目の適正運用▽繰越明許費の明示による適正工期の確保▽公共建築工事での余裕期間制度の促進とフレックス方式の制度改善▽常時1年分の発注見通しの公表▽受注予定者に対する見積期間の延長-など。
 自由討議では「大手と中小企業での制度のすみ分け」「建設業のイメージアップにつながる地域貢献活動を促進するインセンティブの明示」「週休2日制の推進で制約を受ける現場見学会の平日開催支援」などについて意見を交わした。