JR東日本は、バイオガスや水素など再生可能エネルギーの利用拡大に向けた取り組みに力を入れている。バイオガス施設は東京都港区の「TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティー)」の地下に配置。飲食店から出る食品廃棄物を基にガスを生成し、ホテルの給湯で使う熱の約10%をまかなう計画だ。実証結果を踏まえ、他の開発案件へのバイオガス施設導入も視野に入れている。
JR東日本グループは2050年度に二酸化炭素(CO2)排出量「実質ゼロ」を環境長期目標として掲げている。高輪ゲートウェイシティーは将来の心豊かな暮らしのための実験場に位置付けている。環境負荷軽減のための実証実験も展開。さまざまなサービスで使用するエネルギー全体でCO2排出量実質ゼロを目指している。
高輪ゲートウェイシティーは3月にまちびらきした。「THE LINKPILLAR1(ザ・リンクピラー1)」と同2、文化創造棟、レジデンス棟に分かれる。3月に開業したのはザ・リンクピラー1。残る施設は26年春のオープンを目指している。
バイオガス施設はザ・リンクピラー1の地下2、3階に設置。商業施設「ニュウマン高輪」が9月12日にオープンしたのに合わせ、本格稼働した。飲食店などから出る食品残さを集めて発酵させ、ガスを生成。ガスを燃料にビル内の温水ボイラーを稼働し、今後開業するホテルに温水を供給する。
ゲートウェイシティ全体が開業後は1日当たり約4トンの食品残さを処理する。食品廃棄物の約7割を減らせる見込みだ。
高輪ゲートウェイ駅北側には純水素燃料電池システムを設置した。現在は外部の企業が太陽光発電を使って製造した水素を吸蔵合金カセットに充填(じゅうてん)。同駅まで運び、燃料電池システムに供給している次のステップとしてまちの中で水素を造り、サプライチェーン(供給網)も構築する。
24日に都内で開いた見学会で、JR東日本は「ゼロカーボンへのチャレンジをグループの総力を挙げて推進し、サステナブルな社会の実現を目指したい」(天内義也マーケティング本部まちづくり部門品川ユニットマネージャー)との方針を示した。