全建会員調査/労務単価を7割が引き上げ/自主行動計画は4分の1が実施

2025年10月3日 行政・団体 [1面]

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 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)が実施した調査で、直近1年に下請と契約する際の労務単価を「引き上げた」と回答した企業は72・8%となり、前年から5・9ポイント増加した。技能労働者の賃上げ幅は「6%以上」と「6%未満」を合わせて85・4%に達し、3・0ポイント上昇。会員企業からは「政府主導で公共労務単価を1・5~2倍に引き上げてほしい」との声も寄せられた。
 調査は「労働環境の整備に関するアンケート」として7月に実施。全国の会員1933社が回答した。賃金の支払状況などで現状を把握し、働き方改革や建設キャリアアップシステム(CCUS)の推進に役立てる。
 調査結果によると、下請との契約時に労務単価を引き上げた企業は72・8%(前年66・9%)だった。引き上げ率は「6%以上」が21・7%、「6%未満」が63・7%。物価上昇に伴い産業の枠を超え、値上げや賃上げの動きが強まっている。地方の建設業界も例外ではなく、回答者の7割超が労務単価の引き上げを判断した。
 一方、「前年に引き上げたため今回は据え置き」が11・7%(11・9%)、「引き上げていない」が15・4%(21・2%)と低下した。引き上げていない企業と引き下げた企業に対し今後の予定を尋ねたところ、「引き上げ予定」が55・3%、「予定なし」が44・7%だった。
 全建が策定した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する自主行動計画」は、「取り組んでいる」との回答が25・0%(21・4%)に上った。内容では「下請の労務費上昇分を取引価格に転嫁する方針を経営トップが決定」(48・0%)が最多。「知っているが未着手」が44・7%(42・9%)、「知らない」は30・3%(35・7%)にとどまった。
 地方の中小建設会社は、公共工事への依存度の高さや若年層の流出を背景に、賃上げや人材確保が困難との指摘が相次ぐ。「公共工事に頼るしかない」「工事量の減少と人手不足で経営が限界」といった声も上がっている。アンケートでは労務単価の引き上げで国の関与を求める意見が目立った。