国交省/特定技能外国人、在籍型出向容認は継続検討/ルール違反の罰則強化

2025年10月8日 行政・団体 [1面]

文字サイズ

 国土交通省は、建設分野で就労する外国人材の受け入れ政策を検討している有識者会議の議論の途中経過を明らかにした。2027年4月の育成就労制度の開始を見据え、それに連なる特定技能制度の今後の運用方策も検討。特定技能外国人のスキル習得に有効として一部で容認を求める声がある在籍型出向は、日本人を含めた建設分野全体で課題などを整理し引き続き検討する。国際建設技能振興機構(FITS)の巡回指導への協力などのルールを守らない受け入れ企業へのペナルティーを強化する方針も示す。
 政府は育成就労、特定技能両制度の受け入れ分野別の運用方針を12月に閣議決定する予定。現在、各分野に適用する転籍制限や上乗せ措置の政府案がまとまった段階にある。
 建設分野の運用方針案には、国交省の「建設分野の外国人材育成・確保あり方検討会」が9月までの会合で整理した内容を反映させた。育成就労で新たに認める本人意向の転籍の制限期間は2年に設定。就労1年経過後の待遇向上策は、建設業の前年の平均賃金の上昇率以上の昇給率を義務付けることを軸に検討する。転籍に必要な日本語能力は、日本語教育の参照枠A1相当とA2相当の間のレベルで要件を設定する。
 優良事例の周知や法令順守の啓発を目的とする分野別協議会への加入は、現行の技能実習で任意となっていたのが育成就労で原則義務となる。建設分野では建設技能人材機構(JAC)入会企業の加入を免除し、それ以外の企業だけ加入を義務付ける方向だ。
 特定技能外国人の在籍型出向は原則不可とされるが、親子会社間などに限定するといった条件付きで容認する例外規定を分野別の運用方針に明記できる。建設分野で親子会社間の出向は考えにくく、継続的な取引関係にある協力会社間で可能な仕組みとするよう求める声がある。不適切な運用を防ぐため建設キャリアアップシステム(CCUS)登録やJAC入会など有効なチェック体制を活用するアイデアも出ている。
 ルールを守らない企業へのペナルティーは、現行の受け入れ計画の認定取り消しに加え、社名の公表や新規の受け入れ停止などを新たに講じる方向。受け入れ企業ごとに策定する外国人材の「キャリア育成プラン」の普及に向け、JACによる支援などのインセンティブ付与を検討する。