日本道路建設業協会(道建協、西田義則会長)は、東北地方整備局ら東北の発注者との2025年度「道路建設に係わる意見交換会」を6日に仙台市内で開いた=写真。道建協は道路整備や維持管理・更新に必要な安定した公共事業予算の持続的確保を強く要望。猛暑日数が増加し厳しさを増す舗装労働環境の改善策や担い手確保策についても議論を深めた。
西田会長や石井敏行、海野正美の両副会長、新谷悟東北支部長らが出席した。東北整備局からは、西村拓局長、安岡義敏副局長、中尾吉宏企画部長、井上圭介道路部長らが顔をそろえた。東北各県と東日本高速道路東北支社の幹部も加わり、官民一体で課題を共有した。
西田会長は合材出荷量がピーク時の4割まで落ち込み「災害時に道路啓開などを担う『地域の守り手』の減少につながる。特段の配慮をお願いする」と訴えた。西村局長は「国土強靱化を着実に進めながら、繁忙期を避けた工事発注など多様な働き方の推進に取り組んでいく」と述べた。
会合では「公共工事予算の安定的・継続的な確保」「道路舗装工事の労働環境の改善と担い手確保」など8項目で意見を交わした。道建協は全国、東北ともに舗装のアスファルト合材製造量が減少傾向にあり、24年度は過去最低水準だったと報告。「資材価格や人件費の高騰が着実な維持管理・更新に悪影響を与えている」との懸念を表明し、長期の安定財源の確保と事業の確実な実施を要望した。
東北整備局は「国土強靱化や地域経済の成長に極めて重要」と理解を示し「実施中期計画に基づく計画的な事業推進や老朽ストックの更新を着実に進める」と回答。工事マネジメントでは「工程表を監督職員と受注者で共有し、責任の所在なども明確にしている。悪天候や資機材の調達で工程に影響がある場合は工期の変更協議が可能だ」と説明した。
働き方改革に関連した会員アンケートで、東北整備局管内の工期設定を「『適正だった』とする比率が61%とやや改善傾向にある」と道建協が報告。引き続き適正な工期や工程マネジメントの運用、年間を通じた工事の分散を要望した。「電子データと書類の二重提出解消」では全国平均を上回る良好な成果が上がり、維持・拡大を呼び掛けた。合材製造コストの高騰に伴う適切なスライド条項の設定・運用なども求めた。
西田会長は「プラントの減少で合材を供給できない空白地域が生じている恐れがあり、災害復旧体制の維持がリスクにさらされている」と窮状を訴え、舗装メンテナンスサイクルの確立と維持修繕への重点投資を求めた。
自由討議では、熱中症対策が主要テーマの一つになった。新谷支部長は「東北でも夏場は猛暑日が続くようになっている」と指摘。6月から企業の熱中症対策が義務になり、業界では休憩室の空調整備、水分・塩分摂取の徹底、空調服の支給などで対策。共通仮設の現場管理費計上に加え、休憩時間を確保した分の歩掛り見直しや工期延長への配慮を要請した。
交代制や猛暑を避けた夜間作業、夏季休工など多様な対策を議論。東北整備局は「他地域の事例も含め、現場実態を教えてほしい」と協力を求め、道建協は「現場のデータを集め、発注者と共有していきたい」と応じた。