建設DXを進めるクラフトバンク(東京都中央区、韓英志代表取締役)が運営するクラフトバンク総研の調査によると、中小(社員数5~100人)の建設会社で賃上げを行っている企業ほど業績が伸びている傾向が現れた。「賃金が上がった」と回答した人の約8割が「残業時間が変わらない・減った」と答えており、基本給や賞与の増加による実質的な賃上げが進んでいると分析した。
調査は中小建設業の人手不足や賃上げに関する実態を把握するのが目的に2023年度から実施している。今回(25年度)は8月18~26日にインターネット調査を実施。有効回答数は1659件(経営者601、職人541、事務員517)だった。
「人手不足で仕事を断ることがある」と回答した企業は全体の68%に上った。人手不足に関する課題は「人材採用」が最も多く、次いで「人材育成」「離職防止」となった。人材採用では「応募がない」(33%)、「採用活動をしていない」(22%)といった回答が目立ち、特に小規模企業で採用活動の停滞が顕著だった。人材育成や離職に関しては「何もしていない・不明」(43%)の回答も多く、人手不足対策が進んでいない実態が浮き彫りになった。
24年調査と比較して「賃金が上がった」と回答した割合は32%と全体で増加。ただ売上高1億円未満の企業に所属する人では「賃金が上がった」との回答が18%にとどまり、賃上げの波が十分に届いていない。「賃金が上がった」企業では58%が「業績拡大」と回答。賃上げしている会社ほど業績が伸びている。
業績は売上高規模に比例して拡大しているが、1億円未満の企業では縮小傾向が強い。小規模企業は業績面での厳しさが際立つ一方、デジタル化や新規営業に取り組む企業では改善の兆しも見られた。経営者の49%が「発注単価は上がった」と回答。単価上昇が必ずしも業績改善に結びついていない企業も見られた。