前田建設、クォンタムメッシュ/デジタルインフラ整備・展開で基本合意

2025年10月10日 企業・経営 [3面]

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 前田建設とデータセンター(DC)開発・運営のスタートアップ、Quantum Mesh(クォンタムメッシュ、東京都中央区、篠原裕幸代表取締役)は9日、デジタルインフラの整備・展開に向けた基本合意書を交換したと発表した。政府が推進する電力と通信の効果的連携(ワット・ビット連携)の実用化を加速させる狙い。生成AIの拡大で増大するDCの電力需要に対応しつつ、産業競争力の強化とデータ経済の成長を目指す。
 両社は、多極分散型のAIDCを全国に展開することで、AIオートメーション(AIによる自動処理技術)を支える計算力とデータ循環の両立を進める重要なステップと位置付ける。
 整備するAIDC群は、2メガワット級の高圧電源ユニット設計と液浸冷却システムを採用し、世界最高水準の電力効率を実現する。高密度で持続可能なAI計算を可能にする。AI関連のスタートアップや新規参入企業にとっても、初期投資と運用コストの両面で合理的な選択肢となる。
 今後は、地方分散型AIDCと太平洋沿いの大型DCを相互接続する構造を採用。平常時には低遅延・高効率の分散処理を、非常時には迅速なフェイルオーバー(自動切り替え)とバックアップを実現する。BCP(事業継続計画)の観点からも、国内のデータ基盤の強靱性を大幅に高める考えだ。