東京・台東区や地元団体が、上野地区でウォーカブルなまちづくりに取り組んでいる。上野公園や博物館などの自然・文化施設と駅・まちが回遊しやすい環境を整えるため、2023年から不忍通りなどで車道を歩行者空間にする社会実験を展開。居心地が良く歩きたくなる空間の実現を目指す。
区や地元団体が道路空間を活用しているのは、不忍通りと中央通り、パンダ橋の3地区。いずれも上野公園や東京国立博物館などがあるエリアと上野駅・御徒町駅周辺を結ぶ。
上野中央通り商店会によると、過去には上野と銀座を結ぶ全長5・5キロの「東洋一長い歩行者天国」を実施していた時期もあった。ただ自動車交通の発展で道路幅が徐々に拡大。道路空間を活用したにぎわい創出は難しくなっている。
地元の有志団体「しのばずいけまち研究会」は、多くの博物館や美術館がある「山」エリアと「まち」の分断を指摘している。同研究会は歩道を広げたシミュレーションや空間活用方法などを調査。21年の設立以降、都や区と連携し将来像を検討してきた。
都は25年3月に不忍通りの一部を「歩行者利便増進道路(ほこみち)」に指定。指定区間は道路占用などを柔軟に認め、テーブルやいすの設置、イベントでの活用ができる。
不忍通りでの社会実験は実施済みで、パンダ橋は24~26日、中央通りは11月2日を予定している。一部区間は車両が通行止めになる。屋台の出店やいすなどを設置し、滞在空間を設ける。