2020年10月26日に、当時の菅義偉首相が「50年カーボンニュートラル宣言」を掲げてから5年を迎える。当時は国内外で大きな期待が寄せられ、エネルギー転換への議論が一気に加速した。けれども現在は、宣言したものの実行が難しく、息切れ感が漂っている▼化石燃料依存からの脱却の難しさ、技術的・経済的な負担、そして再生可能エネルギー導入の停滞など、課題は山積している。これらが背景にあり、宣言通りに進んでいない現状が浮かぶ▼それを裏付けるかのように、気象庁は16日、大気中の温室効果ガス(二酸化炭素〈CO2〉、メタン、一酸化二窒素)の濃度が増加し続け、24年の世界平均濃度が最高を更新したと発表。特にCO2は前年からの増加量が最大という▼世界気象機関(WMO)は、24年は地球の広い地域で高温と乾燥が続き、大規模な山火事が頻発。CO2排出を押し上げたとしている。この状況が続けば、温暖化はさらに深刻になっていくだろう▼宣言の目標年まで残り25年。増加傾向を反転させるには、国や産業界の取り組みだけでなく、日常の中で、国民一人一人の工夫と努力も欠かせない。










