近ごろ観光名所のようになったパン屋で働いていた知人が、その隣でカフェを始めた。コーヒーやレモン飲料、「ぜひ食べてほしい」という自慢のケーキとエビカレーを提供する▼祖父母の邸宅にあったガラスの引き戸や花柄の透けガラスを取り付け、好きな調度品を並べた。夢を形にした空間で、おいしい飲み物と料理を一人で切り盛りする姿が輝いて見えた▼人気が出るほど、思わぬ悩みも増える。パン屋もカフェも片側1車線の国道沿いにある。専用の駐車場を備えてはいるが、遠方からも客が訪れるため、初めての人が路上に車を止め、近隣の住民とトラブルになることがある▼自家栽培の小麦でパンを手作りするのがモットーの店だが、4人も入ればいっぱいの小さな店構え。駐車場を借りるコストは無視できず、それゆえ、十分な駐車スペースを確保するのが難しい現実もある▼小さな繁盛店の駐車場問題はどこにもある。クレームの矛先は店でなく、まずはドライバーの側に向けられるべきだろう。店を繁盛させるのも、守るのも結局のところはお客次第。マナーと善意で知人の夢が長く続いてほしいと願ってやまない。









