回転窓/失われゆく春と秋、二季化バテにご注意を

2025年10月31日 論説・コラム [1面]

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 ここ数日、東京も朝晩の冷え込みが一段と強まった。つい先日まで夏日を記録していた地域もあっただけに、気温の急降下に慌ててセーターや上着を取り出した人も多いだろう▼日本の「夏の期間」が1982~2023年の42年間で3週間ほど長くなったと、三重大学の研究グループが報告した。「冬の期間」はほとんど変わらず、夏の日数だけが増える傾向にある。春と秋が短くなり、夏が長引くことで、季節は「夏と冬」の二つに近づきつつある。いわゆる「二季化」と呼ばれる気候変動だ▼研究グループは、地球温暖化による海面水温の上昇を主因に挙げる。熱帯域の積乱雲の活発化や、太平洋高気圧とチベット高気圧の二重の覆い、ラニーニャ現象なども、夏を一層長く、厳しい季節にしている▼春と秋が短くなると、暑さや寒さに体を慣らす時間が減る。熱中症のリスクが増し、風邪も引きやすくなる。急な気候の変化が心身に影響する「二季化バテ」という言葉さえ生まれた▼明日から11月。年末年始の足音が近づく、何かと慌ただしい時期だからこそ、寒さに気を配り、心も体もぬくもりを大切にして過ごしたい。