経済産業、国土交通両省は、再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電事業の支援策と公募制度見直しの案を19日の有識者合同会議に示した。実施中の第2ラウンド(R)、第3Rに限って長期脱炭素電源オークションの利用を認める。公募制度は事業者選定の評価を電源コストや入札価格、迅速性重視の配点から計画の実行や電力の安定供給、サプライチェーン(供給網)形成を重視する配点に改める考え。参加停止の扱いも説明した。
第1Rの3海域の事業者撤退を踏まえ、第2R、第3Rの事業に対する支援を拡充し、公募制度を改める。総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の省エネルギー・新エネルギー分科会再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会洋上風力促進ワーキンググループ(WG)と、交通政策審議会(国交相の諮問機関)の港湾分科会環境部会洋上風力促進小委員会の合同会議に、事業環境整備としての支援策、公募制度見直しの案を提示した。大筋で了承された。
長期脱炭素電源オークションは、建設・維持費が事業者に還元される仕組み。現行制度ではFIT/FIP制度の期間中は参加を認めていないが、黎明(れいめい)期にある洋上風力の支援のための例外措置として第2R、第3Rの事業だけを対象にする。
事業者選定済み案件に公募開始以降の物価変動を反映することは、競争への影響などから適用は難しいとした。第2R、第3Rとも設計や施工方法、風車メーカーの変更などが可能性としてある。そこで事業継続のためにやむを得ない場合は、公募占用計画の変更を柔軟に認め、変更する場合は学識者などの意見を聞く。基地港湾の柔軟な利用を促す仕組みも検討する。既に国交省は検討を始めた。
公募制度は、コスト低減を重視しながらも事業完遂が可能な計画を高く評価する。設計・調達の時間や特殊施工船の逼迫(ひっぱく)を考慮し、迅速性評価の配点を20点から10点、計画実行の配点を20点から25点に変更する。電力安定供給の評価は「電力安定供給・サプライチェーン形成」に変更し、20点だった評価点を25点にする。
評価の積み上げ方式の採用、運転開始に対する2年の予備期間の設定、建設期間に応じた相対評価の導入、供給価格の下限額・上限額の設定と下限額を下回る入札価格の失格といった対応案も示した。第1~3Rは参加資格停止の対象を選定事業者だけにする一方、次の事業者選定に参加できなくしたり、親会社・子会社を停止の対象にしたりすることなどを検討する。両省と合同会議は事業基盤の確立とコスト低減を目指し、事業完遂と着実な案件形成を目的に支援と公募制度を検討していく。







