国交省/公共約款に変更協議円滑化規定/受注者の不利益懸念解消

2025年12月10日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は、2日に中央建設業審議会(中建審)が勧告した公共工事標準請負契約約款(公共約款)の改定を踏まえ、請負代金や工期の変更に関する新たな規定を適切に運用するよう公共発注者などに周知する。新たな規定は変更協議で受注者が申し出た意見の考慮と、協議が整わず紛争処理手続きに移った場合の不利益な扱いの禁止といった、公共発注者として取るべき姿勢を明確化した。不利益な扱いなどを恐れる受注者の懸念を解消し、円滑な協議を促進する目的を強調する。
 不動産・建設経済局建設業課長名の通知文書を10日付で送付する。建設業団体にも周知し、適切な理解を促す。改定内容は改正建設業法の全面施行と同日の12日に施行する。
 公共約款では受発注者間の協議が整わない場合、受注者の意向を踏まえて発注者が許容可能な変更額などを定めて通知し、受注者に不服があれば紛争処理に移行する流れとなる。紛争処理の具体的な手続きとして公正・中立な第三者を活用したあっせん・調停や仲裁を定めている。
 ただし受注者の目線では「協議で発注者に意見を申し出にくい」、変更額などに不服があっても「紛争処理手続きの利用には慎重にならざるを得ない」との声があった。こうした実態を背景に国会審議で公共約款の見直しを求める声が上がり、国交省が検討に乗り出した経緯がある。
 新たな規定は、発注者が変更額などを通知する規定を存置しつつ、その前の協議段階で「受注者の意見の趣旨をできる限り勘案し十分な協議」を行い、紛争処理手続きに移ったことを理由に「不利益な扱いをしてはならない」と明記した。
 発注者が変更額などを通知する規定は、協議が整わず工事がストップしてしまうことを避けるために設けている。変更額に受注者が納得できない場合も「当初契約の請負代金から一定の増額が可能になる」と国交省は説明する。一定のメリットを受注者も享受できる規定だとして受注者側の理解を得ていきたい考えだ。