国土交通省は17日、3月1日から適用する新しい公共工事設計労務単価と設計業務委託等技術者単価を発表した。労務単価は全国・全職種の単純平均で4・5%、技術者単価は全職種の単純平均で4・3%引き上げる。いずれも14年連続の上昇となる。公共工事の積算に用いられてきた設計労務単価の位置付けは「労務費に関する基準(標準労務費)」の運用開始で一段と高まる。民間工事を含めた建設工事の全取引で、設計労務単価をベースとした労務費・賃金の行き渡りが求められる。=2面に関連記事
設計労務単価は全職種の加重平均で日額2万5834円。最高値を更新し、初めて2万5000円を超えた。上昇局面に入る前の12年度単価と比べると、全国・全職種の単純平均で94・1%上昇となり2倍近くに伸びている。都道府県別・職種別で1000以上の単価を設定しているが、ごく少数の単価を除いてほとんどがプラス改定となった。
公共工事に従事する現場労働者の8割以上を占める主要12職種=表参照=の加重平均は日額2万4095円で、全国単純平均の上昇率は4・2%だった。単価設定の基礎データは25年10月の公共事業労務費調査で収集。有効工事件数は1万0031件。有効サンプル数は8万5670人。対象51職種のうち建築ブロック工はサンプル不足で単価を設定しなかった。
前回改定時とは、設計労務単価が持つ意味合いは変わっている。改正建設業法に基づき中央建設業審議会(中建議)が昨年12月に標準労務費を勧告。設計労務単価を計算の基礎として適正な労務費を確保する考え方を示し、これを著しく下回る見積もり・契約を禁じた。公共工事と民間工事を問わず法規制の網が掛かる形となり、下請取引も含めて設計労務単価相当額を支払うだけの賃金原資の確保を意識した行動が必要になる。
国交省は建設業主要4団体と共同で、25年に「おおむね6%上昇」という技能労働者の賃上げ目標を掲げていた。これを設計労務単価ベースで下回る格好となったが、最終的な達成可否は各団体が実施するフォローアップ調査を踏まえ検証するとしている。
標準労務費の考え方に沿って工種・作業別に設定する「基準値」と、設計労務単価と同じく公共事業労務費調査を基礎データとする「建設キャリアアップシステム(CCUS)レベル別年収」も、新単価に基づき近く改定する予定だ。改正業法の全面施行を契機に、適正な労務費が確実に行き渡っていく環境を業界全体でつくり、末端の技能者の賃金上昇につながっていくことが重要だ。
□国交省/技術者単価4・3%アップ□
新しい設計業務委託等技術者単価は、全20職種の単純平均で前年度より4・3%上がって日額5万1715円となり、初めて5万円を突破した。2012年度単価と比較すると65・5%上昇している。
全職種で単価を引き上げた。業務別の平均は設計業務(7職種)が6万2157円(前年度比4・2%上昇、12年度比62・1%上昇)、測量業務(5職種)が4万4460円(2・2%上昇、96・0%上昇)、航空・船舶関係業務(5職種)が4万7580円(7・0%上昇、56・8%上昇)、地質調査業務(3職種)が4万6333円(3・8%上昇、69・9%上昇)。
技術者単価は毎年実施している給与実態調査結果に基づいて設定。全国一律の単価として、公共工事のコンサルタント業務や測量業務などの積算に用いる。時間外労働に伴う割増賃金の算出に用いる「割増対象賃金比」も設定しており、一部の職種で見直した。各単価を1時間当たりの額に割り戻した上で、時間数と割増対象賃金比を掛けて割増賃金を算出する。
国交省は26年度以降に新規契約する設計や調査、測量などの業務でスライド条項の試行を始める。まだ試行前のため今回の単価改定に伴うスライド適用は行わないが、次回以降の単価改定時には適用可能な案件が出てくる見通しだ。






