国土交通省は、直轄工事の入札で運用する総合評価方式の見直しに向けた議論を、学識者や建設業団体で構成する有識者会議で始めた。工事成績の観点で品質の高い工事は増えているが、成果物となるインフラそのものの健全性や品質の向上への貢献は不明確との問題意識がある。受発注者で担い手不足が進む中、事務負担の軽減も求められている。受発注者へのアンケートなどで実態を検証し、見直しの方向性を検討する。
21日に開いた「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」の「建設生産・管理システム部会」(部会長・小澤一雅政策研究大学院大学教授)で現状の分析結果を報告した。2005年の公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)制定以降、総合評価の適用工事はほぼすべてに拡大。技術評価点が高いほど工事成績が高くなる傾向があり低品質工事の未然防止に寄与するなど一定の成果を確認している。
一方、施工能力評価型と技術提案評価型で求めている「施工能力」や「技術提案」の品質向上への貢献は「明確に確認できていない」とした。国交省は「インフラの耐久性や長期の機能発揮は、成績が良くても把握が難しい」と説明する。
塩害が懸念される鋼橋で継ぎ手部の耐久性向上に提案を生かした例などはあるが、現場の課題に応じ技術提案テーマを設定できるかに左右される。現状は全タイプで調査基準価格付近に入札が殺到し、予定価格の推算に応札者が労力を割いている可能性も指摘した。
有識者からは「(国交省として)求めている品質を明らかにすべきだ」との意見があった。小澤部会長はインフラの老朽化対策が喫緊の課題となる状況で「今までの品質で良いのか問われている。維持管理コストと初期コストのバランスをどう考えるか」と論点を提案。その上で「契約相手の選び方だけでなく仕様書の作り方や契約の仕方も含めて見直すべきだと受け止めている」と話した。
事務負担の軽減は、技術者情報の集約などデータの有効活用を視野に検討。技術提案に必要な現地確認や入札手続き中の質問・回答のやりとりなど、受発注者両方で改善点を挙げた。






