熊谷組は7日、山岳トンネルの掘削工事で、爆薬を発破孔に詰める一連の作業を「完全自動化」したと発表した。離れた位置から起爆を指示できる「無線電子雷管」を活用し、既存の爆薬遠隔装填システムと組み合わせた機械化システムを開発した。作業員は発破孔との位置合わせ後、大型掘削機・ドリルジャンボの操縦室内に設けた操作パネルから安全に装薬作業に従事できる。危険な切羽の直下に立ち入らずに済み、トンネル工事の安全性と生産性を高める。
同社は内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」に参画し、無線電子雷管システムの社会実装と標準化を進めている。今回の新システムはニシオティーアンドエム(大阪府高槻市、北俊介社長)、キヨモトテックイチ(宮崎県日向市、清本康夫代表取締役)と共同開発した。発破孔に詰める起爆用爆薬「親ダイ」と追加の爆薬「増ダイ」、爆薬をふさぐように詰める粘土(通称あんこ)を全自動で装填する装置を製作した。
5月18日に熊谷組が福井県大野市で施工している「大野油坂道路新下半原トンネル工事」(発注・国土交通省近畿地方整備局福井河川国道事務所)の発破作業に導入した。トンネルの延長は230メートル、断面積は109平方メートル。新システムで切羽中央の10カ所の発破孔に爆薬を装填し、全ての起爆に成功。装薬を機械化できることを確かめた。作業も従来工法に比べスムーズだったという。
切羽近くは落盤や土砂崩壊の危険がある。発破工法での爆薬設置は多数の孔に爆薬を詰め込み、最後に爆薬同士を手作業で結線しなければならず、身体的な負担が大きい。
熊谷組土木事業部トンネル技術部の杉本憲一部長は「目的は技能者や技術者の数が減る中で、さらに安全性と生産性を高めることだ。装薬の機械化と自動化にめどが付いた段階であり、まだ道半ば。いかに素早く滑らかにできるか、改良を続けていく」と開発方針を語った。









