社会資本整備を巡る政府の議論が活発化しそうだ。「経済財政運営と改革の基本方針2026」(骨太方針)の原案に、公共事業評価を費用便益比(B/C)などに過度に依拠しない仕組みに見直し、社会的割引率を改めることが盛り込まれた。社会資本整備は目の前の課題に対処しつつ、将来を見据えて対応を検討する必要がある。国土交通省は「議論に弾みが付く。大きな進展」(総合政策局幹部)と受け止めている。
B/Cは公共事業の評価や採択に使われる。事業の効果(便益)と費用から、大きければ事業は妥当とされる一方、1を下回ると在り方が問われる。社会的割引率はB/Cの算定に用いる。将来の便益、費用を現在に価値換算する指標で、低ければ価値が減らず、B/Cが上昇しやすくなり、その設定は事業の評価を左右する。現在の割引率は、04年当時の10年物国債の実質利回りなどを参考とし、4%に定められている。設定から20年が経過し4%の固定観念化を懸念する見方がある。
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会は未開業の北海道新幹線・新函館北斗~札幌について、単純計算で事業全体のB/Cは0・6程度などと試算し「基本的にはプロジェクトを中止すべき水準」と4月に指摘した。青森県の宮下宗一郎知事は1日の会見で「社会的割引率が恐らく4・0(%)で高い水準」と発言。「B/Cそのものの議論として1を取れていない」と計算式に疑義を示した。「(B/Cだけが)本当にふさわしいのか」とも話した。
社会的割引率は、骨太方針を議論した4月の経済財政諮問会議で若田部昌澄議員が「古い前提のまま評価を続ければ、本来必要な投資が十分に評価されない恐れがある」と指摘した。
会合に出た金子恭之国交相は、公共事業評価を含めて「検討を進めたい」と表明した。国交省は公共事業評価手法研究委員会で割引率などを議論してきている。
骨太方針の原案には「金利状況等を踏まえ社会的割引率を見直す」と明記された。省内には「インフラの価値を見える化したり、必要な事業の提案をもらったりするきっかけになる。公共事業評価に対する一部の誤解を解くことにもなる」(政策担当者)といった受け止めがある。
骨太方針は原案の与党協議が進み、最終決定が間近。高市早苗政権による初めての来年度予算概算要求を控え、社会資本整備の行方が注目される。











