安藤ハザマが1990年代後半に開発した下水道設備向けのコンクリート長寿命化技術が国内外で実績を伸ばしている。劣化原因の硫黄酸化細菌を抑える「防菌コンクリート」と、補修モルタルの上から防食層を作る「スラスラ工法」。構造物の特性に応じて柔軟に使い分け、マンホールや下水処理場の水路・貯留槽のような腐食が進みやすい設備で両方を組み合わせることでより高い防食性が得られる。2件を最大限活用し、ウオーターPPP事業への参画も視野に入れる。
防菌コンクリートは96年に開発した。1立方メートルに3~4キロの防菌剤を混ぜて製造し、硫酸を生成する硫黄酸化細菌の発生を抑制。値が高いほどさびやすい硫化水素濃度0・005%以下の環境では、通常のコンクリートに比べ腐食速度が4分の1程度に遅くなる。コンクリート2次製品として、ヒューム管やマンホールなど年間2000トン以上、累計25万トン以上を出荷してきた。現場打設コンクリートでは、年間300立方メートル程度、累計5000立方メートル以上の施工実績がある。
海外でも実績がある。現地の施設を使って日本の下水道技術を実証する国土交通省の21年度「WOW TO JAPANプロジェクト」に採択され、同年にベトナム・ハイフォン市のマンホールに適用した。追跡調査したところ、施工から4年経過しても劣化要因となる硫黄硫化細菌の発生を1%以下に抑制した。
改良にも取り組んでいる。大分市と共同で、25年から硫酸への耐性と製造時の二酸化炭素(CO2)削減が両立できる低炭素防菌コンクリートを開発中。同社のプレキャスト(PCa)工場でCO2排出量を従来品から7割削減した低炭素セグメントの試作に成功した。現在、試験体を使って実際の下水環境で耐食性を試験している。
スラスラ工法は、98年に開発した。微生物腐食を受けている構造物に幅広く適用可能。補修モルタルの上に支持体付きシート(TSAシート)を貼り、高耐久の防食被層を形成する。硫酸の浸漬(しんし)試験では、50年後でも耐硫酸性を確保すると見込む。新設の管路などに対応し、既設ストックにも後貼りできる。
毎年約100平方メートルの施工実績がある。5年後には100平方メートル規模以上の特殊マンホール更生で、年間10基の施工に採用する計画だ。下水道関連だけでなく、塩害対策が必要な臨海部の水産施設や道路・港湾などにも有効だ。
埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえ、下水道の老朽化対策に一段と力を入れている。25年10月には調査・診断・修繕・改築などに生かせる社内技術を速やかに展開するための専門チームを設置。コンクリート長寿命化技術に加え、自治体から要望されている空洞調査や地盤陥没防止などの技術開発・改良も推進していく。コンセッション(公共施設等運営権)への移行を前提にしたウオーターPPPへの参画も見据える。
同社技術研究所の室山拓生土木研究部地盤・基礎グループ長は、地場企業の参画も想定されるウオーターPPPを念頭に「何に困っているのか自治体の話も聞きながら、地元企業だけでは難しい課題解決をサポートしたい」と展望。最適なツールとして「コンクリート長寿命化技術に代表する当社の技術力が生かせるだろう」と前を向く。










