論説・コラム


2026年2月19日[1面]

回転窓/空き家にともる再生の明かり

 春めいた光が海面を照らした日曜、海辺の高台にある一軒家で、画家やピアニスト、染織家らによる体験講座が開かれた。暖かな南風が吹き込む中、音楽に合わせた絵描きや旬の食材を使ったランチを、近所の人たちも楽しんだ▼海原を進む帆船をイメージした個性的な家屋と、庭にある大きな梅の木が目を引くこの建物は、少し前まで空き家だった。地元の芸術家が購入し、自然素材にこだわった改修でよみがえらせた▼現在、全国には90…

2026年2月18日[1面]

回転窓/名は体を表す

 「名は体を表す」ということわざがある。名称とそのもの自体は切り離せないものであるとする仏教の「名体不二(みょうたいふに)」の考え方に由来する▼ベネッセの「2025年たまひよ赤ちゃんの名前ランキング」によると、1位は男の子が「碧(あお)」、女の子が「翠(すい)」。いつの時代も、その名とともに歩む人生が豊かであってほしいという親の思いが込もっている▼独特な相撲のしこ名も分かりやすい。「琴~」「千代~…

2026年2月17日[1面]

回転窓/海図なき航海に未来はあるか

 人は、自分の理解できる範囲でしか世界を認識できない。真の問題は、器の小ささや浅さそのものではない。それを自覚せず、自分の視界がすべてだと思い込むことにある。海図を持たずに航海へ出て、なぜ遭難したのか分からない船長のようだ▼時代は静かに、冷徹に進む。止まった時計を見つめながら、自分だけは前に進んでいると錯覚してはいないか。感覚のズレを見過ごし、異変を告げる警報を雑音と退けているうちに、足場は崩れ落…

2026年2月16日[1面]

回転窓/還暦3人スキー旅の約束

 還暦を迎えた同級生仲間3人で先日、誰からともなく声が上がり一緒にスキー旅行へ出かけた。皆が久しぶりのゲレンデとあって、何度も休憩しながら緩斜面での滑りを楽しんだ▼スキー用具一式をレンタルすると、昔とは板の形も様変わり。身長より長い板を使っていた時代が懐かしい。かつてと違うのは、リフトにあまり並ばずに乗れたことでもあろう▼1990年代のピークで年間1800万人に達していた国内スキー・スノーボード人…

2026年2月13日[1面]

回転窓/若い建築家の夢

 部屋に物を増やさないよう気を付けている。それでもあれやこれやと物は増え、徐々に狭くなる居場所。たまらず断捨離とともに模様替えを計画している。部屋を心地よい空間にと、悩み考えるのは楽しい▼さいたま市の別所沼公園内に、わずか5坪のワンルーム空間にベッドとデスクが配置された極小の別荘がある。小屋のような小さな家として有名な「ヒアシンスハウス」だ▼詩人で建築家の立原道造(1914~39年)が37年冬から…

2026年2月12日[1面]

回転窓/顔が見えない相手

 駆け出しの頃から、いまだに緊張する仕事の一つに電話応対がある。プライベートで使うくだけた言葉を封印し、相手に失礼がないよう細心の注意を払って用件を伝える。正しい日本語を選び、やりとりする行為は、想像以上に難しい▼反対に、自分の名前を言わずに、用事が済むとさっさと電話を切る人もいる。ストレスを発散したいのか、乱暴な言葉を相手に浴びせる人もおり、そうした人と遭遇するたび、気がめいってしまう▼取引先な…

2026年2月10日[1面]

回転窓/信用は残り、信頼は消える

 人の心が離れる瞬間は、音もなく訪れる。崩れるのはたいてい「信頼」であって、「信用」ではない。信用は履歴書のようなものだ。数字や実績で上書きされる▼あいさつの温度、言葉の裏表、沈黙への配慮。どれか一つでも欠けると、信頼は気づかぬうちに薄くなる。問題は、微妙な異変を感じることができるかどうかだろう▼自分は同じ川を渡っているつもりでも、流れは少しずつ変わる。地図を書き換えないまま車のハンドルを切れば、…

2026年2月9日[1面]

回転窓/人の心理と錯覚

 人が「だまされた」と分かっていても楽しめるものと言えば、それはマジックであろう。視覚や心理の錯覚を利用した巧みな演出に、不思議な世界へいざなわれてしまう▼最古のマジックはおわんと玉を使った「カップアンドボール」ではないかともいわれる。古代エジプトの壁画に描かれているとの説もあり、歴史はかなり古い。橋場正尚さんのマジックエッセー『手品の部屋へようこそ』(22世紀アート)から知った▼人を悪質な手口で…

2026年2月6日[1面]

回転窓/ベテランの存在を支えに

 2026年はワールドベースボールクラシック(WBC)、サッカーワールドカップ(W杯)など世界規模のスポーツイベントが相次ぎ開かれる。先陣を切るのが、きょう6日に開幕するミラノ・コルティナ五輪だ▼日頃ウインタースポーツに縁遠いが、冬季五輪・パラリンピックの期間中、にわかファンになる人も多かろう。小欄もそれでアスリートの熱戦を心待ちにしている▼日本代表は120人に上り、ほとんどが平成生まれ。昭和世代…

2026年2月5日[1面]

回転窓/レンジャーのカレンダー

 北海道の利尻礼文サロベツ国立公園はこの時期、雪の砂丘などをエゾシカの群れが駆ける。晴天の日、サロベツ西海岸に立てば、海の向こうにある利尻山に沈む夕日が眺められる▼国内最北端の国立公園は、海や島の風景が特徴の一つ。短い夏にはリシリヒナゲシといった固有種の花が咲く。国立公園の指定から半世紀が過ぎ、調査やPRを強化しようと、ボランティアを追加募集している▼国立公園は全国に35カ所ある。環境省の国立公園…

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