論説・コラム
2026年9月15日[1面]
衝動買いした洋服がクローゼットの肥やしになっている。評判だけを頼りに人気店に並んでしまう。そんな経験は誰にでもあるだろう▼人は、金銭や労力を費やしたことを、なかなか無駄だと認められない。これを「サンクコスト効果」という。費やしたものを惜しむあまり、合理的な判断ができなくなる認知バイアスだ▼“やめられない、とまらない”が記憶に残るスナック菓子のCMではないが、人は一度始めたことを、やめるのが苦手だ…
2026年9月14日[1面]
関東以西の各地に大雨をもたらし、佐賀県で大規模な土砂崩落が起きた昭和37(1962)年7月の豪雨災害。多くの死者・行方不明者を出し、同年制定の激甚法に基づく災害に初めて指定された▼法律名は「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」。激甚災害に指定されると、地方公共団体が行う災害復旧事業への国庫補助のかさ上げなど特別の助成措置が講じられる▼激甚法の制定から64年、日本は地震や大雨など…
2026年9月11日[1面]
道順や所要時間を確認したり、店や施設を探したりするのに便利なデジタル地図は、生活や仕事に欠かせないツールとなっている。デジタル全盛の時代だが、縮尺を変えずに広範囲を一度に見渡せる紙の地図を支持する人も多かろう▼世界地図として目にする図法の一つに「メルカトル図法」がある。学校の地理でもおなじみの図法だが、先日の国連総会で面積をより適切に表すため、「イコールアース図法」など面積が正しい正積図法の利用…
2026年9月11日[14面]
建築へ/旧長濱検疫所一号停留所移築(横浜市金沢区)、検疫の歴史伝える文化財
神奈川県の観光地・八景島に近く、夏には多くの海水浴客でにぎわう海の公園(横浜市金沢区)に、明治期に完成した検疫施設「旧長濱検疫所一号停留所」が移築された。国内洋風建築の黎明(れいめい)期をたどる上で貴重な文化遺産の一つで、国の登録有形文化財にもなっている。移築後は、8月10日に建物の活用事業者に選ばれたスターバックスコーヒージャパンがカフェを開業。明治の面影を残す建物が、新たな場所で時を刻み始め…
2026年9月10日[1面]
北アルプスを代表する登山口の上高地(長野県松本市)が、今年の夏山シーズンもにぎわっている。飲食店が集まる河童橋周辺ならバスターミナルから近く、軽装で行き来できる▼8月は混雑のため、松本駅方面に向かうバスに3時間待ちの行列ができた日があったと聞いた。レアチーズケーキが人気のカフェは、梓川が濁るような雨の日も、片手に傘を持った軽装の観光客と、防水対策が万全の登山者が交互に順番待ちしていた▼上高地には…
2026年9月9日[1面]
過熱気味だったサウナブームが、新たなフェーズに入っている。ライト層が混雑や価格高騰を理由に落ち着きを見せる一方、月に複数回利用するヘビーユーザーを中心に、サウナを自宅に導入する動きが広がっているそうだ▼北欧サウナ製品の輸入・販売を手掛けるスタートアップ、totonouによれば、ここ数年で自宅への導入件数は増加。特にデベロッパーによるマンションへの導入が目立つという▼サウナは高温で交感神経を優位に…
2026年9月8日[1面]
「記者の本道とは何か」と問われれば、「言葉を突き詰めることだ」と答えたい。資料を右から左に移しただけの記事なら、生成AIでも十分に文章にできる。記者だからこそできるのは、人と向き合い、事実の重みを見極め、言葉を一つ一つ選び、読者の胸に届く文章へ丹念に磨き上げることだ▼どんな言葉を選ぶかには、その人の知性も、覚悟も、誠実さもにじむ。だからこそ、一語を決しておろそかにしてはいけない。記事の存在価値は…
2026年9月7日[1面]
広島市に拠点を置く学校法人の安田学園は、〈柔(やさ)しく剛(つよ)く〉を学園訓に掲げる。前身となる広島技芸女学校の創立は1915年にさかのぼり、昨年に110周年を迎えた▼創立者は女子教育の発展に尽力した安田リヨウ。「人格の完成を目指して、学術や技能を磨き、徳性を身につけ、いかなる境遇にあっても、女性らしい柔しさと、剛い意志をもって、社会に貢献できる心身ともに健全な教養ある女性を育成すること」。こ…
2026年9月4日[1面]
2026年は昭和元(1926)年から満100年に当たる。この間、日本の建築は技術や生活、社会制度の変化に応じて姿を変えてきた。近現代建築は時代の変化とともに、日本の社会や文化を映し出してきたといえよう▼近現代建築の記録と保存に取り組む学術団体「DOCOMOMO japan(ドコモモ・ジャパン)」が1920年以降の国内建築を対象に、歴史的・文化的に価値ある建築を00年から選定している。25年には選…
2026年9月3日[1面]
夏休みを終えて久しぶりの学校に向かう小学生が、通学路を楽しそうに、でも慎重に歩いているのを見かけた。先日降った大雨で歩道が損傷してしまい、鋼製のガードレールで仕切った車道が仮の通学路になっているためだ▼今までの歩道は、水路のふたになっていたコンクリート板が陥没し、通行止めのまま。雨水に運ばれて堆積した砂が風に舞うこともあって、通学路は大雨の爪痕がいまだに残る▼2027年度予算概算要求で、気象庁は…