専門工事会社6割超は採用苦戦、CCUS活用環境まだ不足/建専連調査

2025年5月7日 行政・団体 [1面]

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 主に現場で下請となる専門工事会社が担い手の確保に苦戦している。建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)が傘下34団体の会員企業に2024年11、12月に実施した「働き方改革における週休2日制、専門工事業の適正な評価に関する調査」の結果(有効回答834社)によると、技能者の採用状況について「必要だったが1人も採用できなかった」との回答が41・1%に達した。「採用できたが予定人数を下回った」も24・1%で、合わせて65・2%は予定通り採用できなかったことになる。
 調査主体の「建設技能労働者の働き方改革検討委員会」で委員長を務める蟹澤宏剛芝浦工業大学教授は、ハウスメーカーやゼネコンを含めた業界内で工業高校生などの人材獲得競争が激化していると指摘。週休2日の現場閉所を浸透させるなど業界全体で就労環境を整え、競争条件の格差をなくす必要性を強調する。
 技能者の処遇改善の道筋を若年層に示す意味でも、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用促進が重要だ。雇用する全技能者をCCUSに登録している企業の割合は年々増加しており24年度は80・6%。全技能者が能力評価(レベル判定)を実施している企業は37・0%だった。レベル判定を積極的に申請する意向を示す企業は60・1%で、回答を寄せた企業に限ればCCUSに積極的な姿勢がうかがえる。
 一方、レベル判定に必要な就業履歴が蓄積できる現場環境はいまだ不足している。カードリーダーが設置されていた現場の割合が「8割以上」と回答した企業は16・2%。反対に設置現場が「2割未満」との回答は45・9%(うち「ゼロ」は16・5%)と半数近い。特に地方では「カードを使ったことがない」との声もあるといい、全国でカードタッチ可能な環境整備を急ぐ必要がある。
 CCUSの導入状況と給与額の関係を見ると、CCUSに登録している企業の方が、そうではない企業より給与が高い傾向がある=表参照。同じ登録基幹技能者でも事業者・技能者登録が徹底している企業の技能者と、全く登録していない企業の技能者では月額で10万円以上の開きがあった。