日本建設業連合会(日建連)東北支部の電力工事委員会(坂西将徳委員長)は、洪水調節と流水の正常な機能の維持を目的に宮城県名取市で建設が進む「川内沢ダム本体工事」の現場見学会を15日に開いた。電力委のメンバーと東北電力グループの若手社員ら10人の合わせて24人が参加。西松建設・奥田建設・グリーン企画JVが施工する現場の安全対策やコンクリートの品質管理などを含め施工状況を見学した=写真。
同委員会による現場見学会は、電力施設の技術・工法の調査・研究を目的に東北電力関連施設を中心に実施。2022年度からは電力グループの若手職員の技術の研さんや継承を目的に他の発注機関の現場に広げた。冒頭、坂西委員長は「現場の見方などを受発注者が共有することで、電力施設工事の工法や技術に展開していきたい」とあいさつした。西松建設の小野雄司所長と白武知浩副所長が工事概要や作業工程などを説明した後、堤体工事が進む現場内を視察した。
見学後の質疑応答では、働き方改革の影響や安全、DX活用、技術的な視点から質問が寄せられた。白武副所長は「一日の打設量が限られ、夜間打設で施工と品質を工夫している」と応じた。
最後に、坪田修一副委員長は「異常気象が日常化し、治水事業は社会的に重要な仕事だ。工事を担うゼネコンとして、身の引き締まる思いで見学した。安全管理やコンクリートの品質管理など今後の電力工事に生かしていきたい」と話した。
川内沢ダムは23年3月に本体工事に着手。24年7月に本体のコンクリート打設を開始し、6月に定礎した。堤高は36・7メートル、堤頂長140メートル、堤体積5万2000立方メートル、総貯水容量は179万立方メートルの重力式コンクリートダムで、9月末時点での進捗率は約75%。無事故・無災害で工事が進む。年内の打設完了を目指し、26年に試験湛水に入る。