外国人雇用の実態を探るため、群馬県建設業協会(青柳剛会長)が会員企業に対し、外国人材活用に関するアンケートを実施した。雇用に慎重な姿勢を見せる企業が多く、受け入れに向けた情報の不足などが課題として浮かんだ。外国人材の新たな在留資格「育成就労制度」の内容を知らないとする回答は約8割に上った。建協は同制度の周知や雇用に関する情報提供に注力する。8月をめどに再調査を実施する考え。
6日、前橋市の群馬建設会館で記者会見を開き、調査結果を報告した。アンケートは5月7日から15日にかけて、本部会員276社を対象に実施した。回答数は242社。回答率は87・6%だった。
結果を見ると、「技術者が不足している」と答えた企業は全体の88・4%。「技能者が不足している」とした企業は69・4%に上った。
技術者に関して、外国人雇用を「考えていない」と回答した企業は63・1%だった。言葉や文化の違い、専門用語の理解が困難といった理由から「日本人にこだわりたい」という回答が多数を占めた。「将来的に母国へ帰国してしまう可能性がある」といった懸念の声もあった。
技能者は、技術者と比較して外国人の雇用に前向きな企業がやや増える傾向が見られた。「考えていない」は47・0%にとどまる。言語面の不安をはじめ、「真面目に働いてくれるか」などの不安の声が挙がった。
会員からは実際の運用や課題に関する情報が少ないことから、実例紹介や説明会を求める意見があった。青柳会長=写真=は、外国人雇用に関する課題を▽外国人技術者=日本語での専門用語の理解度に応じた教育▽外国人技能者=日常的な日本語専門用語・作業の理解度に応じた教育▽育成就労制度=今後決定される事項含めて具体的内容を広く周知-の三つにまとめた。会員企業への情報提供や制度の周知徹底をしていく。「大事に時期になってきた。建協がペースメーカーとなって進めていく」と意気込みを語った。
外国人の雇用を巡り、建協は2023年度にも調査を実施。同年度と比較すると「雇用を検討している」との回答が2~3倍に増加しており、企業の意識に一定の変化も見られる。建協は8月をめどに再度アンケートを実施するという。