自民党参院議員・佐藤信秋氏に聞く/「人」のため職域代表の役割果たす

2025年6月18日 行政・団体 [1面]

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 ◇利益出る新4K産業へ、志を継いで欲しい
 国土交通事務次官などを歴任し、建設産業の職域代表者として国政でも活躍している佐藤信秋自民党参院議員。2007年7月の初当選から18年にわたり、担い手を確保・育成するための新4K(給与、休暇、希望、かっこいい)の実現や、公共調達の整備に取り組んできた。7月28日の任期満了を前に職域代表者の役割と意義を語ってもらった。
 ずっと人に着目してきた。処遇を改善していかないと、産業として成り立たなくなる。住宅や運輸の仕事も含めて若者や女性に入職してもらうためにどうするか。大企業も半島の先端で活動する地域建設会社のことも、全国津々浦々の建設産業の人たちの思いを政府や地方自治体に分かってもらい、人を見ながら利益が出る新4Kの産業にする。将来に向かって発展するために行動するのが職域代表者の役割だと考えてきた。
 処遇改善は展望がないと難しい。国土強靱化実施中期計画は、補正予算がベースになりがちな対策ではなく、法律に基づく計画に切り替わった。推進が特に必要な施策の「おおむね20兆円強程度」の事業規模は、最低ラインであって、当初予算とは別枠で考えることになっている。物価が上昇し、新たに災害が発生するかもしれず、毎年の積み上げが大事になる。当初予算の上積みが一番だが、補正予算が編成されるのならばそこも考慮して、積み上げる戦いを毎年することになる。計画は、ふるさとを守るためのもの。公共投資は民間投資を誘発する。族議員と言われようが、ふるさとを守る建設産業の人たちを応援し、予算を積み上げるのも職域代表者の役割になる。
 真夏や真冬に屋外の仕事がある建設産業は、賃金が低いと働く人がいなくなってしまう。公共工事設計労務単価は12年度から8割超上昇し、公共工事の低入札調査基準は07年以降8回上がった。まだ十分とは思っていないが、公共工事の請負価格は一番低かった頃から4割くらい上昇しただろう。
 (予定価格を下回る)前年の水準で今年の工事の積算を行うとデフレになる。(予定価格の上限拘束がある)会計法、地方自治法から定められている公共調達を改めようと努力してきた。公共工事品質確保促進法によって総合評価方式で一番いいものを選ぶ制度を整えた。買うときは一番安く、売るときは一番高くという公共調達はゆがみが出てきているが、予定価格の上限拘束の見直しはなかなか難しい。不確実性などを考慮し、復興係数のように標準的な積算や歩掛かりにいろいろな係数を掛けて予定価格にすることで、標準的な積算イコール予定価格とはならない価格設定の仕組みは増やしていい。
 労働時間を1割減らすなら、賃金が下がらないよう単価を上げたり、会社の売り上げが減ったりしないような手当てが求められる。職域代表者は、発注者、業界、府省庁、自治体の橋渡しも担っている。府省庁を本気にさせ、単価や積算のような省内の領分の間の調整役にもなるなら、実務を知っている必要がある。国土強靱化実施中期計画を進めるリーダーとなって、ふるさとを守る建設産業の仕事の量を確保し、たくさんの若者や女性に入職してもらえる産業に変革していかねばならない。全体のバランスを取りながら、志を継いでほしい。