厚労省/建設業に変形労働時間制の活用呼び掛け、猛暑・積雪対応の事例示す

2025年7月10日 行政・団体 [1面]

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 厚生労働省は建設業で1年単位の変形労働時間制を導入する時のポイントをまとめたパンフレットを作成した。猛暑や積雪で現場を不稼働にせざるを得ない建設業に特有の事情を踏まえ、同制度を活用すれば年間を通じて労働時間を柔軟に設定可能だと呼び掛ける。制度導入のイメージとして具体的な労働日・労働時間の設定例を紹介し、時間外労働の上限規制への対応などに苦慮している建設業者に参考にしてもらう。
 1年単位の変形労働時間制は、季節によって繁閑差が大きい場合、繁忙期に長い労働時間、閑散期に短い労働時間を設定できる制度。1年平均で1週40時間となる範囲内で、労働日・労働時間に凹凸を付けた勤務カレンダーを作成する。連続労働日数は原則6日まで(特に繁忙な場合は12日まで)、労働時間は1日10時間・1週52時間まで(48時間を超える週は3カ月ごとに3回まで)などのルールがある。
 制度導入には労使協定の締結と届け出が必要。労使協定締結時にあらかじめ1年分の勤務カレンダーを設定するのが原則だが、それが難しければ月ごとに順次設定することも可能だ。まずは最初の1カ月分だけを定め、2カ月目以降は対象となる月が始まる30日前までに定める。建設業は年度内に随時工事を受注することが多く、1年分の勤務カレンダーを事前に作成するのが難しいことから、この規定を生かした制度導入を働き掛ける。
 パンフレットでは猛暑や積雪に対応した勤務カレンダーの作成例を提示した。ある例では夏場の6~9月に労働時間を1日6、7時間に短縮し、秋から年度末の10~3月に1日8時間勤務を週6日こなす。週休2日を年間通じて確保するため、夏場に労働日・労働時間を減らす代わりに繁忙期には1日9・5時間勤務とする例も挙げている。
 建設業向けに用意した時間外労働の上限規制に関するQ&Aにも、猛暑・積雪への対応や同制度の活用を念頭に置いた事項を追加。現行制度の枠内で個々の事情に応じた対応策の検討に生かしてもらう。