東京都は千代田区の日比谷公園内にある日比谷公会堂の改修と大音楽堂の再整備内容を明らかにした。日比谷公会堂は耐震性を高めるため、建物下部に免震装置を設置。建物のデザインと機能は維持しつつ、地震の揺れが建物に直接伝わらない仕様にする。大音楽堂はスロープを付けるなどバリアフリー化を推進する。2階観覧席を新設し、誰もがステージを見やすい空間を構築する。
都は25~27日に両施設の整備内容に関するオープンハウスを開いた。
1929年に竣工した日比谷公会堂は老朽化が進み、耐震性能の不足などから2016年から休館している。耐震化に向けては免震装置設置のほか、柱や壁、梁の耐震補強も行う。ホール天井も改修し、揺れによる落下を防ぐ。
利用者が全ての階を移動できるエレベーターも設置する。通路はバリアフリー化し、客席までの段差をなくす。客席はゆとりを持たせるとともに最適な視界を確保できる構造にする。ホールやホワイエなど主要空間は建設当時の設計趣旨を尊重して復元する。リハーサル室を新設するとともに楽屋も増設し、出演者の利便性も向上する。
大音楽堂は1923年に完成後、54年と83年に改築した。最後の改築から40年以上が経過する中で老朽化が進んでいた。
観客席の入り口にはスロープとエレベーターを配置し、誰もが入場しやすい空間に仕上げる。資機材搬出入用の大型車2台が駐車できるバックヤードも新設する。楽屋も現在の2室から最大7室利用できる構造に改める。
新たなステージは向きを公園の中心方向(東方向)にすることで公園外に漏れる騒音を低減する。騒音対策ではこのほか、大音楽堂の外周部に2階レベルの防音壁を設置する。壁の間には透明のスリットを入れ、圧迫感を減らす。