参院選当選の見坂茂範氏/仕事量確保と賃金アップへ、インフラ整備に防衛予算活用も

2025年7月29日 人事・動静 [1面]

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 20日投開票の参院選で、自民党から建設産業の職域代表として立候補し初当選を果たした見坂茂範氏が日刊建設工業新聞などの取材に応じた。選挙戦で訴えてきた「(建設業の)仕事量の確保と賃金アップの二つが最大のミッション」と改めて表明。2025年度補正予算の編成にも言及し、「国土強靱化実施中期計画の1年目として極めて重要。しっかりと予算を確保し、仕事量確保につなげたい」と述べた。「防衛関連予算をインフラ整備に活用すべき」との考えも示し、国政の場で訴えていく方針だ。
 見坂氏は、全都道府県を回った選挙戦を振り返り「大変厳しい選挙だった。無事当選でき、建設産業に携わる全ての皆さんに感謝したい」と述べた。その上で、「建設産業と言っても業種や地域によって課題はバラバラ。それら一つ一つを丁寧に解決していくのが建設産業の職域代表としての役割だ」と意欲を見せた。
 最大のミッションと位置付ける仕事量確保については、防衛関連予算を活用したインフラ整備という新たな考え方を打ち出した。「社会資本整備に防衛関連費を充てるのは欧米では一般的な考え方」として、「国防上重要な場所と本州との連結を強化するため、トンネルや橋を造っておくことは必要ではないか」と提案。将来的には第2青函トンネルなど大型事業に防衛関連費を活用する青写真を描く。大型プロジェクト実現が、若者の建設業への入職にもつながるとも述べた。
 もう一つの重点課題に挙げた賃金アップについては「建設産業をもうかる産業にしていきたい」と話し、公共工事設計労務単価の引き上げに加え、歩掛かりの見直しに取り組む方針だ。選挙戦では「地方自治体発注の小規模工事に課題がある」との声を多く聞いたとし、「地域建設業が利益を出せるような工夫を考えたい」と話した。
 さらに「官庁営繕も利益率が低い」と指摘。「建築は携わる業種が多く、機械化が難しい。職人、元請どちらも利益を出せる仕組みをつくりたい」と語った。
 地方では「時間外労働の上限規制」や「熱中症対策の規制強化」の見直しを求める声もあったという。見坂氏は「人手不足の状況で、本当に規制を厳しくして良いのか。立ち止まって考える必要がある」とし例外規定の充実など、より柔軟に働ける仕組みが必要との考えを示した。
 見坂氏は29日に任期が始まる。8月1日召集予定の臨時国会から国政の場に挑むことになる。唯一の建設産業職域代表として、「選挙戦で全国津々浦々を歩いてきた成果として、やらなくてはならないことを、できる限りのスピード感を持ってやっていきたい」と表情を引き締めた。
 (1993年京都大学大学院工学研究科土木工学専攻修了、建設省(現国土交通省)入省。官房技術調査課長、近畿地方整備局長などを歴任し2024年5月退職。兵庫県出身、57歳。)