7月1日付で内閣官房国土強靱化推進室次長に就任した山本巧氏が、日刊建設工業新聞の取材に応じた。6月に閣議決定した第1次国土強靱化実施中期計画(2026~30年度)が実施段階に入るのを踏まえ「計画に盛り込まれた施策を着実に実施していけるよう関係省庁と連携し取り組んでいきたい」と述べた。26年度予算概算要求の時期が迫る中、25年度補正予算での措置を期待する声も少なくない。「初年度として非常に重要な予算。しっかり対応できるよう準備したい」との考えを示した。
甚大な自然災害などが多発する中、国土強靱化の取り組みについて「切れ目なく進めていかなくてはならない。取りまとめる立場として、しっかりと職責を果たしていきたい」と力を込めた。実施中期計画は初年度の予算措置について経済情勢などを踏まえ、速やかに必要な措置を講ずると明記されている。「切れ目のない取り組みを進めるためにも、補正予算編成の可能性も念頭に置いて準備したい」と述べた。
強靱化施策のモニタリングやフォローアップの重要性も指摘。予算の執行状況を注視し「物価や人件費の上昇の影響がどれくらいあるのか、予算に対する出来高が出せているか。定量的に把握し、予算編成過程に適切に反映させる」。
実施中期計画はデジタルを使った新しい取り組みや避難所の環境改善など、現行の国土強靱化5か年加速化対策になかった施策も盛り込まれている。「新規施策が着実に進むよう目を配っていきたい。実際に施策を実行する関係府省庁とも連携していく」と意欲を見せた。
災害現場の緊急対応や復旧・復興を担う建設業については「地域の守り手として、警察や消防と同じようにどの地域にもなくてはならない存在」と強調。担い手不足などの課題に直面し、デジタル技術を使った生産性向上も求められるのに対し「国土交通省とも足並みをそろえて必要な環境整備に取り組んでいく」方針を示した。